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石谷久


氏名 石谷 久(Hisashi Ishitani)
所属 東京大学 工学系研究科 地球システム工学専攻(エネルギーシステム工学、制御システム工学)

講義内容要旨

 過去10年来警告されていながら現実の対応には多くの困難があって有効な手段がとられなかった地球規模気候変動、いわゆる地球温暖化の兆候もすでに認められているという見方が強くなっている。このような温暖化は現在の人間の生存の基本であるエネルギー資源の消費と切り離せない本質的な問題である上に、先後進国格差や資源消費の公正性などが絡んだ複雑な様相を呈しておりその解決はには多くの障害があると見られている。97年の第3回枠組み条約参加国会議(京都会議)で決定された京都メカニズムはこれを解決する一つの手段と見られているが、未だ参加国の足並みはそろわず機能していないなどその実現にはまだ時間がかかると予想される。

 この中で技術による解決はそれがすべてではないまでも比較的抵抗の少ない手段であり、他方で新しい産業創生などの期待も残される。温暖化問題が議論され出した90年ころから多くの技術が提案、研究され、コストを無視すれば抜本的なCO2排出削減も夢ではないという評価がなされている。本講義ではこれらエネルギー技術を中心とした温暖化防止策の背景、現状から今後必要な課題などを広く紹介して、今後われわれがどのようなところで努力すべきかを議論する材料としたい。


持続的社会をどのように考えているか

 現在の主要なエネルギー資源である化石燃料は本来は太陽エネルギー起源であるが、現在の利用速度はその生成速度をはるかに超えて消費しているので、いずれにしてもこれを太陽から地球に到達、利用可能な範囲に収めない限り持続的社会とはいえない。現在言われる持続的社会とは物質保存の成り立つその他資源のリサイクルといった概念と思われるが、そのためにもエネルギーを消費することが多く、定義がややあいまいである。他方で自然環境破壊と言った色彩が強く、立場が異なると議論がかみ合わない状況がある。定義と前提を明確にした上で、系統的、論理的な考察と施策を検討する必要があると思われる。他方で、先進国では消費はきわめて高く、このような持続的社会を実現するには明らかに何らかの意味で現状の消費を振り返る必要がある。その辺の利害得失、可能な限界、前提を明白にする必要がある。


受講生へ一言

 環境問題そのものが示すように、現実の自然、社会は多くの要素が複雑に絡み合って一面の見方が新たな問題を生じることが極めて多い。結局は結果をみて再考するしかないにしてもこれを少しでも早く検出、また同じ間違いを起こさないために、システム的な理解と考え方を身につけてほしい。またこのような見方はかなりが経験を通じて得られると思われるので、特定のケースでもよいのでひとつの対象を深く掘り下げて考えて見ることが有益と思う。


環境問題マッピング

キーワードでは以下が適当

 エネルギー資源、再生可能エネルギー、CO2削減策、外部不経済の内部化、地球環境、モニターリング、省エネ、エネルギー転換、総合的な対応策、適応化

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