合同研究発表会

2002年3月24日(日)に本郷キャンパスにて「環境三四郎および環境政策ネットワーク合同研究発表会」が行われました。(卒論9名・修論3名/三四郎9名・環境政策ネットワーク3名)

論文の発表に先立ち、山下さんから宇井先生の自主講座「公害言論」の「開講にあたって」が紹介されました。それに続いて目々沢さんから「『学問のすすめ』のすすめ」と題し、福沢諭吉の議論をもとに、学問(研究)を通して独立した人間となる道について話題提供していただきました。これらは、研究発表に先立ち、そもそも何のために研究をするのか、参加者一人一人に自問してもらう機会を提供することが目的でした。

個々の発表については、報告者もそれぞれに初心者にもわかるよう工夫したプレゼンテーションとし、コメンテーターによる絶妙のフォローによって、研究に対する理解を一層深めることができました。

発表内容

→発表要旨集PDF(691KB;28ページ) :発表内容の題名は以下のとおりです。


■ 題名 / 発表者 大学・学部
シロイヌナズナにおけるホウ素栄養に関する遺伝子の研究
三輪京子 東京大学農学部生命化学専修

漂着レジンペレット(プラスチック小粒)における疎水性有機汚染物質吸着量の粒子間変動
遠藤智司 東京農工大学農学部環境資源科学科

共進化モデルに基づく遺伝的プログラミングの並列化
神尾正太郎 東京大学工学部電子情報工学科

産業連関表を用いたシナリオ評価型LCA
湯本和紘 東京大学工学部化学システム工学科

リスクの社会的認知の研究
立石裕二 東京大学文学部

ホルムアルデヒドの室内汚染対策の評価に関する研究
岡田浩一 早稲田大学

循環型経済モデルによる廃棄コスト内部化の理論的分析
猪野弘明 東京大学経済学部

大豆畑トラストの可能性と課題
澤千恵 東京大学教養学部総合社会科学科

地場型給食の効果と課題〜地域に根ざした食を伝える
田中理恵 東京大学農学部農業構造経営学専修

分散剤の添加が石油起源多環芳香族炭化水素の消失過程と生物蓄積に与える影響
山田美穂子 東京農工大学大学院

ダイオキシン類の女性ホルモン撹乱作用の研究
大竹史明 東京大学大学院農学生命科学研究科分子細胞生物学研究所

環境アセスメントにおける科学と政治の境界領域の分析
木村宰 東京大学 大学院総合文化研究科広域科学専攻


2002年3月24日東京大学本郷キャンパスにて、環境三四郎と環境政策ネットワークの合同研究発表会が行われた。山下英俊さん(0 期:新領域創生科学研究科助手)などが中心に企画を立ち上げ、環境三四郎だけでなく環境三四郎のメンバーも深く関わっている環境政策ネットワークにも声がかかった。(記事:浦久保雄平)

研究分野を超えた交流を

この会の趣旨は「環境問題について活動している(きた)仲間たちが日頃の研究活動の成果を発表し、研究分野を超えた交流を促進するための集会」ということで、活動と研究とのつながりを考えるきっかけにもなった。

研究発表会当日の様子発表した12 名は農学・工学から経済学・社会学の分野まで多岐に渡り、その学問に知識のない人でも分かるように内容が工夫された。またそれぞれの発表後にはコメンテーターが補足や研究の意義を述べ、参加者は理解を深めていた。参加者は46 名で、世代では大学1年生から社会人まで、大学では早稲田大学や麻布大学の人々も参加し、人のつながりを実感できる場であった。

発表者の一人である澤千恵さん(6 期:農学生命科学研究科修士1 年)は、「学年や知識量がバラバラの聴講者に対して、12 分という発表時間で一から説明できなかったことが悔やまれる。次回からは発表者を少なくし、残りの人はポスター発表をするなど工夫してはどうか。誰がどんな研究をしているかの雰囲気がつかめたのはとてもよかった。」と語っていた。

環境問題には学際的な研究が必要だと言われるが、自分の学問を基礎知識のない相手に伝えることの難しさを発表者も参加者も感じたようだった。それ故に学問間での対話がますます重要であることを確認できた発表会であった。

山下さんによると今後も定期的にこうした場を作っていきたいということで、どのような学問間の対話がなされるのか今後が楽しみである。

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