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鬼頭 秀一


氏名

鬼頭 秀一 (きとう しゅういち)

所属

東京農工大学農学部地域生態システム学科

講義内容のイントロダクション

 環境問題とは何でしょうか。何が問題であり、どのような解決が考えられるのでしょうか。「自然保護」「環境保護」といっても、そもそも、どのような「自然」、どのような「環境」が守られるべきなのでしょうか。「持続(永続)可能な社会」が希求されていますが、そもそも、「持続(永続)可能」と言っても、何が「持続(永続)可能」であるべきなのでしょうか。
 これらの問いに対して、一見、簡単に「答」があるように見えますが、具体的な環境問題の現場をみてみると必ずしも一律の「答」、つまり普遍的な唯一解があるわけではないように思われます。
 何が守られるべきかということでさえ、現場、現場で、地域、地域で異なることが多いわけですし、その問題に何らかの形でかかわっている人たちの間でも、簡単に合意が得られるわけではありません。
 とはいえ、それにもかかわらず、やはり、多くの人たちが何らかの「合意」を得るためには、何らかの規準は必要なように思われます。
 このように、「価値」の問題や、思想的、倫理的な原理となるような問題は、環境問題を捉え、それを解決しようとした時に、どうしても避けて通ることができないのではないでしょうか。
 今回の講義では、具体的な問題に則して考えながら、環境問題の構造をどのように捉えていくべきなのか、それをどのように解決していくべきなのか、そもそも環境にかかわる意思決定はどのようであるべきなのかという根本問題について考えてみたいと思います。


講義までに考えてきてほしいこと

 私たちは、どのような「自然」を守るべきなのでしょうか。
本講義の前は、鷲谷先生の生物多様性の保全に関する講義なのでその講義の内容を踏まえて、自然科学(生態学)、政策、価値の間にどのような関係があるのか、考えてきてほしいと思います。


今、興味を持っていること

 昨年の9.11から、BSE、雪印、外務省-NGO問題といった一連の政治の流れの中で、私たちがどのような社会を築いていくべきなのかという根本的な問題提起がなされたにもかかわらず、少なくともマスコミの主流の中では、本質論が影をひそめ、どうしようもない論騒の中にある一方で、ローカルな場面で確実に何かが変わってきていることについて、よく考えます。このことはもちろん、「環境問題」の本質です。


おすすめの本

 『感性の哲学』『西行の風景』桑子敏雄(いずれもNHKブックス)


先生にとって環境問題とは何か

 私たちがどう生きるべきか、どのような社会を構築すべきかという根本問題が、「環境問題」なのです。


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