合同研究発表会

発表の様子 3月26日本郷で、環境三四郎と環境政策ネットワーク(以下、EPN)の合同企画による研究発表会が行われた。

 研究発表会は、EPNとしては今年で3年目、環境三四郎としては2年目を迎えた。

 今回は東大を始め、早大、東工大、筑波大などから4年生、修士2年生の15人が、自分の卒業研究を発表した。 【記者:青山勝治(9期)】

発表会の概要

 発表会の構成は、山下英俊さん(0期:新領域創成科学科助手)と泉桂子さん(0期:日本獣医畜産大講師)が司会を担当し、一人15分程度の発表の後、コメンテーターによる補足、説明があり、そのあと質疑応答という形で行われた。

 発表会の後は懇親会もあり、発表で説明しきれなかった部分を補足したり、分からなかったところを質問したりととても有意義な時間だったように思う。

 発表者は農学部を始め、工学部、経済学部などに所属しており、一人一人がそれぞれの視点から環境を捉えているため、発表の研究テーマも多岐に広がっていた。

 研究内容もそれぞれだったが、専門外の人にも理解できるように工夫しているのは、みなさん共通で、とても分かりやすくすばらしい発表であった。 

研究を2つほど紹介・・・

説明をする林さん 今回の研究内容二つほど挙げよう。1つは、林留美子さん(5期:工学系研究科博士1年)による「超臨界水酸化反応におけるアルコールの添加効果と素反応モデリングによる速度論的解析」という研究発表だ。

 「超臨界水」という374℃、22.1MPa以上の高温高圧状態の水を使うことで、実験系有機廃液をダイオキシンなどを生成せずに、酸化により完全分解できるというものだ。「水で燃やす」というとても興味深い内容で、これにより従来の燃焼法という廃棄物の処理方法が大幅に変わる可能性も予感させた。

ジェスチャーで解説する山田さん 2つ目は、山田裕子さん(EPN:筑波大農学部修士過程卒)による「ε−カプロラクトンを用いた木材液化とその応用」という発表だ。

 木材を、液化する際に従来は溶媒としてバクテリアが分解できない有機溶媒を使っていたのを、生分解性があるε−カプロラクトンを使うことで液状化し作った硬化樹脂にも生分解性を付加しようといった内容であった。これが発展すれば、木材をプラスチックとして利用でき、石油製品の代替材料とすることができ、深刻な問題となっている石油の枯渇やごみ問題、さらには国内の林業にも働きかけることができるというものだ。

 これらはともに研究の最先端をいっているにもかかわらず、それらを実に分かりやすく発表していたので、専門外の人やまだ専門に入っていない人などにも理解できる内容だった。

 上記の二人以外の人についても実に興味深い発表だったのだが、紙面の都合上割愛せざるを得ない。残念だ。

発表会を終えて

挨拶をする加藤さん 今回の研究発表会を中心的に企画した加藤靖之さん(6期:農学生命科学研究科修士2年)は「最先端の研究も手段ではなく結果だけであれば、専門的な知識がなくても理解できる。今回は1,2年生が少なくて残念。発表者も1年生でも分かるような発表を心がけているのでぜひ聞きに来てほしい」と、今回の発表会に1,2年生がいなかったことを少々残念がっていた。

 今回の研究発表会に参加し、様々な分野の話を聞くことができて、これからの進学の選択肢を増やすことができた。ここで聞いたことや興味を持ったことを、これからの学生生活に活かせればと思っている。

 そして、自分にもあの場で発表できることを楽しみにしている。

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