水プロジェクト

関連ページ

→一二郎池ビオトープ化案企画書PDF(PDF:1606KB)

→エコプロダクツ2003展示作品『一二郎池ビオトープ化project』(gif:270KB)

→2002年度水プロジェクト

活動紹介

 駒場キャンパスにおける貴重な緑地でありながら利用されることの無い一二郎池。今年で2年目になる水プロジェクトはそのビオトープ化をめざし、2002年度終盤から2003年度にかけて企画書を教養学部に提出するための調査、研究を行ってきた。そして2003年12月9日に浅島学部長に一二郎池ビオトープ化企画書を提出した。また単発企画で水に関係する施設の訪問等も行った。  一二郎池

ビオトープについて学ぶ

 多様な定義があるが、「人間の生活の中で自然の生態系が存在できる空間」と言えるビオトープ。2002年度終盤は具体的にどのような例があるのか、ビオトープ化に関してどのようなことを注意する必要があるのか、等ビオトープそのものに関する学習やビオトープの訪問を行い、新入生用に小冊子「ビオトープの豆知識(ver2003)」を作成した。2003年度に入ってからも実際に計画案を作成しながらビオトープに関する書籍を紹介しあう等ビオトープに関する学習を行ってきた。

自然環境調査

 ビオトープ化のために欠かせないのが既存の自然環境の把握。水プロジェクトは学部からの得て、水質調査や植生調査等の自然環境調査を行ってきた。その際工学部都市工学科環境工学コースの教官や東京大学生物学研究会(サークル)の協力を受けることができた。結果は企画書参照。

ビオトープの設計、計画

設計図
「学生や教職員、地域住民などが気軽に立ち寄れる『憩いの空間』を創出する」、「多種多様な生き物の集う自然環境を再生させる」、「地元の小中学生に気軽に自然観察をできる場を提供する」、「学生中心でビオトープ化を推進することで学生の環境に対する理解を深める」の4つを柱に、調査の結果も踏まえて一二郎池をどのようなビオトープにするべきか案を出し合い、検討してきた。そして前述したように12月9日に学部長にビオトープ企画書を提出することができた。また、2003年12月11日から13日にかけて東京ビックサイトで行なわれた「エコプロダクツ2003」にビオトープ化プロジェクトに関するパネルを展示した。関連ページの画像をご覧になられたい。

水に関する施設等の見学

ビオトープ以外にも水に対する理解を深めるため水関連の施設等の見学を行った。2002年度3月には京都で行われた第三回世界水フォーラムに行き各種分科会に参加した。2003年度夏学期には新入生歓迎企画としてビオトープのあるサッポロビール園見学や葛西臨海公園での潮干狩り等を行った。また8月には水質浄化のシステムについて学ぶため金町浄水場を訪問した。

活動インタビュー

今年で2年目を迎えた水プロジェクト(通称:水プロ)。2年目の今年は、一二郎池とその周辺をビオトープとして保全していこうというビオトーププロジェクトを中心に、その実現に向けて一二郎池周辺の各種調査や他のビオトープの見学などを進めていっているようである。現在までの活動の流れと今後の予定、抱負について、責任者である渡部春奈さん(10期:理科二類2年)に話を聞いた。【記者:細見暁彦(9期)】

これまでの活動の流れ

現在水プロジェクトは2年生4人、1年生10人程度で活動しており、一二郎池周辺のビオトープ化プロジェクトと単発的に水問題に関する勉強会や見学などを行う企画の2つの活動を行っている。そのうち、メインとなるのがビオトーププロジェクトであり、昨年度の水プロから引き継ぎ、その実現に向けてビオトープに関する勉強会や他のビオトープの見学を行っている。また、学部の許可を得て一二郎池の水質や植生といった詳細な調査も進めている。

学部へのビオトープ設計計画案の提出というのが今年度の目標であるが、渡部さんを始めとする2年生のメンバーは、その後の様々な問題、例えば学生や先生方の賛同を得ることや学部の説得、予算の問題、そしてビオトープ完成後の維持管理のあり方なども視野に入れて活動しているようである。ビオトープ化は今年一年で完成するものではなく、完成後の話をするのはまだ早いかも知れない。だが、ビオトープは継続的で適切な管理を必要とするため、完成後の管理のあり方というものが特に重要であると言えるのだろう。

そういったことを考えると、実現のためには来年、再来年とプロジェクトが継続することが必要になっていく。しかし、水プロは今後何年も継続されていく事を前提としてはいない。そんな状況の中で「大切なのは、今年の段階で何を残し、どのような形で区切りをつけるかということです。」と渡部さんは語る。2年生のメンバーの間では「ビオトープ化は実現したいが、一年生の活動を縛ってはいけない。今度一年生の意志を確認してから細かいことを決めればよい。今年はしっかりとした企画書の完成を目指そう」という話が出ているそうだ。

1年生が来年も実現に向けて働きかけていくなら、きちんとした企画書が必要になり、専門の先生とのつながりも必要になってくる。今年はそういった土台完成、学部が受け取るだけで済ましてしまわないような流れを作っていきたいということらしい。

実現の過程にある、ビオトープや生態系に関する勉強や、専門家へのヒヤリング、ビオトープめぐり、先生や学部との交渉などをやっていくことに意味があると考え、1年生にはあくまで「止められる自由」を残すつもりだそうである。

今後の予定、抱負

さしあたり今後の予定としては、意識調査、ヒヤリング、設計図完成など企画書作りに向けた種々の作業を進めていくことが中心となる。夏学期はビオトープに関する知識を身につけるため1年生は受身になりがちであったという点を反省し、今後は1年生にも主体的に取り組んでもらう予定である。

一方、2年生にとってはこれが駒場最後の活動になるので、悔いのない企画書作りをしたいとのことである。

取材を終えて

ビオトープ構想の実現には今後何年にもわたるプロジェクトの継続が必要である。しかし、今後の世代に運営管理を強制することはできない。2年生のメンバーからはこのプロジェクトが持つ本質的な問題を指摘されたように思う。冬学期になり1年生への引継ぎが近づいてくるにつれ、そんな複雑な思いは強くなっていくかもしれない。しかし、そうして常にプロジェクト全体を見据え、自分たちの位置を確認しながら活動しているからこそ、きっと立派なビオトープ設計計画案を作り上げ、何年か後のビオトープ実現のためのしっかりとした土台を築いてくれるであろうと非常に頼もしく感じた。

関連ページ

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→エコプロダクツ展示作品『一二郎池ビオトープ化project』(gif:270KB)

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