4月21日
教 官: | 松原 望 |
所 属: | 東京大学大学院 総合文化研究科国際社会科学専攻 |
配布物: | なし |
環境問題とは本来大気、水、陸地等自然科学的様相を持つものだが、今回は環境問題の社会科学的要素について述べてみたい。
環境問題を語る上で「持続可能な開発」が重要になってくる。「環境を利用する」≒「環境を破壊する」となりがちである。特に第3世界では成長と環境が両立しない場合が非常に多い。
人間が生きるため、あるいは豊かな生活を送るためには、経済および経済学的視点は不可欠。しかし、環境問題は南北問題、世代間の問題を含んでいるため、長期的視点も必要。
環境行政の例 大気汚染局局長 橋本道夫さんの例政策を実行する上で妥協もやむを得ないが、その再汚染企業と市民、被害者双方からたたかれる。自然科学から政策決定の論理までさまざまなレベルの知識が必要となってくる。
環境問題を解決する際には法律的方法だけではなく、経済的方法(排出権、税)も取り入れていくと効果的。
炭素排出税……5年間の二酸化炭素の排出を権利とする。シカゴで採用。
資本主義で生じた汚染を資本主義的方法で解決できるかが疑問。
統計学は事実を検証する学問だが、分かったらどうするかがない。そのため、政策の学問としての経済学などに興味を持つようになった。
地球環境問題は大きすぎるため、草の根や地域的な運動が済みに追いやられてしまう場合がこれまで多かった。しかし、環境庁で近年、地域の自然などを重視するようになってきたように、少しずつ地域から環境問題を解決する試みをやっていくことが見直されている。1つの取り組みとして、NGOに力を入れていくことが考えられる。環境問題はNGOによって決まると言ってよい。市民の意見が反映できることが強み。環境庁は比較的弱い官庁である分、より一層NGOと提携すべきだと思われる。彼らを環境庁の支持基盤とすることにより、環境庁の政策を実現させることがよりスムーズになっていくだろう。
環境教育を施すことについては、告発調、脅しになりやすいという問
題がある。問題の解決の難しさを伝えることにより、逆に気落ちして解決に向
けての取り組みがなされなくなる心配がある。深刻さを強調かどうかは難しい。