第9回講義内容

「環境リスクマネジメント」

6月23日

教 官: 中西 準子
所 属: 東京大学 環境安全研究センター
配布物: なし

講義内容
<目次>

<講義内容>

1. 環境問題とリスク論エネルギーから見た環境問題

環境問題=周囲・未来に影響を与えるもの
(公害問題から「人が死ぬ、病気になる」というイメージがある)
環境問題の分類 ― (1)地球環境問題、(2)地域環境問題
(1)地球環境問題 ― 広域環境、未来環境に現れる、消費生活・人間社会が加害者
(2)地域環境問題 ― 生存環境、公害として現れる、自然・都市・工業が加害者
・公害((1))と未来環境((2))は矛盾が多い(バランスが難しい)
有害物を除く、リサイクル=エネルギーの消費・枯渇
環境問題=道徳では解は得られない→科学の力が必要
人間の命=無限の価値をおくことはできない→人間の命の評価(リスク論)

2. 下水道の場合

流域下水道 ― 水の使い捨て→水不足
公共下水道(下水処理水を浄水としてとる) ― 水が循環→一定の危険性
「安全性ばかりは追求できない→危険性を定量的に評価する必要」
cf.長良川河口堰 ― 人の安全のためなら自然を破壊するのは仕方がない←→リスク論

3. 水道水の水質の場合

発癌性物質の規制 ― しきい値なしのモデル→総リスク論の必要性
農薬規制 ― 個別では規制をクリアする農薬→総合リスクを考える必要
発癌性物質の規制 ― 非発癌性物質と発癌性物質の危険度を評価する物差しが必要
          =寿命短縮(余命損失)の観点

4. END POINT(影響判定点)

影響判定点=誰もが避けたいと思うこと(人間の場合=死)
「自然=未来に残すもの」という観点→影響判定点=種の絶滅

・たくさんの欲望(たばこを吸いたい、車に乗りたい)は、一つの尺度で測ることができれば、最大限許容できる。

今度の課題=生態リスクを守るためにどれだけの資源を割くか