第10回講義内容

7月5日

「ゼロエミッション計画と地域の自律的発展」

教 官: 須藤  修
所 属: 東京大学 社会情報研究所
配布物: レジュメ(B5 - 6ページ)

講義内容

<目次>

  • 事後勉強会

    <講義内容>

    ゼロ・エミッション……排出物ゼロを目指す構想
    柏キャンパス 排出物→地域で処分 ただし、危険物は自分で処理する必要

    1. ゼロ・エミッション

    排出物は出る ただし、他部門で利用
    ドイツ、北欧諸国、イギリス……ゼロ・エミッション構想を熱心に進めている

    今日はいろいろなプロジェクトのうち、3つを紹介
    一つ一つだとバラバラに見えるが、全部見ると、体系的につながってくる

    東北地方 福島、宮城が熱心
    愛知万博(Expo2005) 従来の万博……開発をメインにした見せ物 今は環境がコンセプト
    カルガリー……環境と共生する
    愛知……………環境を創造する 例えば、中山間農業
    →ゼロ・エミッションを是非やってみたい 地域・産業・行政が一体となって
    →日本だけではなく、アジア、アフリカも巻き込んで

    2. 21世紀の産業集団:新しい産業集団群の形成

    今までの産業 インプットを使い切っていない

    中国の養豚 人間の排出物(完全に消化していない)を食べさせている
    豚の排出物→野菜
    これもゼロ・エミッションの一つ

    農業だけで完結させるのではなく、工業・商業ともリンクさせて、完結する
    今まで、バラバラだったものを結びつける inovation(人間の発想)に大きく依存

    ZERI……zero emission reserch initiative → WWWで見られる

    (1) インクと紙のリサイクル

    普通紙の紙 若干の古紙利用 しかし、漂白で環境汚染
    今の再生紙利用 世の中の風潮でやっている しかしincentiveなし
    今は65-70%ではなく、80%以上とれる 100とれたら新しいことができる 下記のように

    長い繊維 → 紙
    短い繊維(スラッジ) → アスベスト代替物
    防火剤にはならないが、防音に優れている 防熱にも優れている
    (米国の肺ガン原因は、たばこよりアスベストの方が多い)
    発泡スチロール代替物
    発泡スチロール……IBMコンピュータの梱包材
    スラッジ……NECコンピュータの梱包材
    非常に有効な材料(製紙産業だけではない)
    既存産業の雇用問題もある(この場合は、雇用は若干減るだろう)

    (2) 砂糖、洗剤、軟化剤及生分解性プラスチック

    砂糖は旧植民地の発展途上国の産品だが、作れば作るほど貧しくなる(供給過剰)
    ココナツ……たれ流すと富栄養化
    砂糖…………48時間以内に分解

    ←―――砂糖
    ↓ ↓
    甘味料 新しい用途 汚染型の旧来製品
    ↑ ↓
    需要の低下 洗剤 石油化学
    化粧品 石油化学合成品
    医薬品 ←―
    水軟化剤 燐酸塩
    プラスチック 塩素ベースの化学品

    新しい産業はどれも、設備投資が小さい
    →発展途上国でも可能
    →自律的発展

    (3) ビール、サーモン、牛

    (2)の砂糖と結びつき

    ←―――ビールの醸造―――――→
    ↓ ↓ ↓
    ビール 排水 腐蛋白固形廃棄物
    ↓ ↓ |
    空き瓶 洗浄システム |
    排水 | |
    ↓ ↓ ↓
    ――――→魚の養殖←――――――
    家畜の飼育

    3. 将来展望

    <行政負担の軽減>

    ゼロ・エミッション→行政負担の軽減
    今までは、過疎地に産業を呼び込むために、莫大なインフラ整備(工業団地養成など)
    しかも、今、低賃金を求めて、呼び込んだ産業がアジアに移ろうとしている 東北、半導体産業

    ゼロエミッション計画に基づく産業は、要するに発展途上国でも立地可能
    先進国でも、従来の太平洋ベルト以外の過疎地に立地した方がよい
    →地方に職―産業 島根国際大学

    <中国の場合>

    各製品の消費量が、先進諸国と同水準……21世紀初頭には成りうる
    魚を肉資源として利用することはいいこと
    宮城県 アサヒビール
    臨海に醸造工場を移して、海洋牧場(養殖場では密接して汚染してしまうため)

    4. 21世紀の企業戦略

    ゼロ・エミッション……経済と環境の両立可能
    誰も、生活低下を招く環境保全を好まない
    →やろうと思えばできる
    ただし、企業の収益増は無理 収益維持で確保
    ヨーロッパが目指しているのはこれ
    日米の企業もヨーロッパ市場に合わせて、環境基準を厳しくしている
    ヨーロッパの世論もそう
    日本の世論はそうではない
    日本の大学 例えば東京大学は環境問題を取り扱うセクトが存在しない
    官庁の方が進んでいるくらい

    5. 情報テクノロジーとエコロジー


    6. ‘グローカル’な環境主義

    グローカル……グローバルとローカル(造語)
    企業は理念ではなく、収益で動く 税制優遇などが必要
    The Enviro Webで各種情報が見られる(英語さえできれば何でもできる)
    今までの環境問題運動は、市民運動的
    NPO……環境問題を地域でやるのに必要 政府の負担も減らせる
    コミュニティ
    NPO ――――――企業
    (Networkの核) 行政
    NPOは営利はしてよい
    ただし、寄付した人にお金を返してはいけない
    働いている人の給料を上げる incentive

    7. 質疑応答

    (ありません)

    <事後勉強会>

    質疑応答


    最後に一言


    (ありません)