わがおすすめ本(大林)

大林潔さん(7期:教育学部4年)のおすすめ本は・・・

社団法人日本環境教育フォーラム編著「日本型環境教育の提案 改訂新版」(小学館、2 0 0 0 )4 1 4 p 、A 5 版、2 6 0 0 円

この本は、教育学部で2002 年度夏学期に開講された阿部治先生(立教大学教授)の「環境教育論」で参考文献として挙げられたものだ。第1章は「日本型環境教育を求めて」と題する座談会の記録で、環境教育をめぐるこれまでの流れを整理すると共に今後の在り方を模索している。第2 章以降は環境教育を実践する際の手引きとして利用できるように「プログラム」「施設」「学校」「地域社会」「人づくり」「事業化」という環境教育の要素・主要な場・要点別に章立てされている。具体的な実践例を交えながら書かれているので日本の「環境教育」の実態を知るのにも有用だと思う。

編著者「社団法人日本環境教育フォーラム」は、1987 年から1991 年まで年に一回、山梨県の清里で開かれていた「清里環境教育フォーラム」を前身とし、今でも清里を拠点に自然体験型環境教育の実践的研究を行っている。

清里には、豊な自然の中に「財団法人キープ協会」という団体が運営する宿泊施設や自然科学系博物館などがあり、この地域自体が環境教育の実践の場となっている。「環境教育論」の授業の一環として、9 月にキープ協会の施設の一つである「自然学校」で環境教育プログラムを体験する2 泊3 日の合宿が行われた。ここで体験したプログラムは、直接体験とその後の振り返りを重視する「体験学習法」という手法がとられていた。

今年7 月に、文部科学省の中央教育審議会が「奉仕活動・体験活動の推進方策について」という答申を出した。体験を重視する環境教育は、学校の週休二日制や「総合学習」の導入などと相俟って、現在の国の施策によって大きく推進されようとしていると見ることができる。

また、8 月のヨハネスブルクでの国際会議では、「持続可能な開発に向けた教育の10 年」という文書を国連総会で採択しようという提案がなされたという。「環境教育」は、いまや国際社会においてもキーワードとなっているようだ。

この本は、「環境教育とは一体何か」を知るのに役立つ一冊だと思う。しかし、私自身も環境教育については入門したばかりなので、これからも様々な文献にあたってみたい。良い本があれば、是非紹介していただきたい。

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