TUNZA北東アジア青年環境ネットワーク2005年度会議報告

 2005年夏に開催された、TUNZA北東アジア青年環境ネットワークの会議に日本の青年代表10名の一人として参加してきた。北東アジアのネットワークということで、日本、中国、韓国、そしてモンゴルの四カ国の青年たちが集った。短い期間ではあったが、アジア地域と日本についてより深く考えるきっかけとして貴重な経験をすることができた。 【文責 10期・野田 悠】

概要と感想

会議中の一コマ 本会議は8月9日から12日にかけて、韓国ソウル市において開催された。正式名称はTUNZA北東アジア青年環境ネットワーク(TUNZA-NEAYEN)2005年度会議。NEAYENはNorth East Asia Youth Environment Networkの略、TUNZAはスワヒリ語で「愛をこめて大切に扱う」という意味だそうだ。TUNZA-NEAYENは国連環境計画(UNEP)の青年環境活動に対する戦略の一つとして位置づけられており、UNEPの意思決定に直接青年の声を反映させようという意図から発足した。今回はTUNZAの世界会議の準備会合として、北東アジア地域諸国(日本、中国、モンゴル、韓国)から合計50名の青年が一堂に会した。会期中は各国の青年の環境活動紹介、グループごとでのディスカッション、ソウル市近郊のフィールドトリップなど盛りだくさんの内容で、非常に収穫の多い会議となった。

発表中 まずなにより、各国の青年環境活動の様子を実際に知ることができた。中国では学生による環境関連の団体がすでに400以上も存在するといい、日本でみられる学生の活動と似た雰囲気が随所に感じられた。一方、韓国ではそれほど学生主体の活動は主流でなく、組織基盤の確立されたNGOなどの学生支部などに参加している人が多いようだ。モンゴルからは伝統行事に環境教育的な要素を盛り込もうとする活動が紹介された。総じて、海外でも同年代の人たちが同じような活動をしているのだと実感することができ、また日本の活動内容についても興味をもって聞いてもらうことができた。たとえば早稲田大学での『ほっかる』というリサイクル可能な弁当箱の導入の事例が好評で、自分たちの国にも広めたいという声が上がった。こういった場面での密な情報交換が各国の環境の状況を改善させる一助となるとの思いを強くした瞬間であった。

 また、ディスカッションにおいては、国連が2000年に採択した「ミレニアム開発目標と青年の役割」が今回のテーマの柱であったため、貧困撲滅、ジェンダー平等、グローバルパートナーシップといった個別の課題と持続可能な発展との関連を中心としてディスカッションが行われた。そこで挙げられた意見をグループごとに集約し、宣言文「Seoul Initiatives」としてまとめ、プレスリリースを行った。この詳しい内容については以下のウェブサイトからダウンロードできる。(NEAYEN: http://www.neayen.org/

海岸でのごみ拾い 会期中、基本的にホテルに缶詰にされた青年たちだけに、フィールドトリップにかける期待は大きいものがあった。ところが(?)フィールドトリップもさすがUNEP主催だけあり、ソウル市内を流れる清渓川の再生事業の見学、仁川近郊の海岸でのmarine litter(海岸のごみ)拾いというこちらも充実のメニューで、帰りのバスでは皆ぐっすりと眠っていた。海を見るのは初めて、と言うモンゴルの女の子と一つのゴミ袋を一緒に持ち、ひたすら瓶を拾ったのが思い出される。

各国から集まったメンバーとともに 最後に私たち日本の参加者が日本人として全体を通じ考えた点について触れておきたい。一言で言うならば、それは「アジア(特に北東アジア)地域における日本の役割」「青年による国際的環境ネットワークの意義」という二点の重要性である。日本の青年活動や環境関連の取り組みは先進国として一定の評価を確かに得ていた。一方で「日本は自国内では非常にorganizedされており素晴らしいが、むしろ日本の問題はその外にある」という言葉も投げかけられ、日本からも多くの情報を発信していくべきだと感じた。そして隣国の青年同士が腹を割り「環境」を語り合うというのは、狭義の環境改善に貢献しうるばかりでなく、より広い国同士の関係に新しい可能性を拓けるのだと気づいた。こういった情報共有・交換のための幅広いプラットフォームが必要であるという共通認識から、今回の会議参加者を中心にTUNZA日本青年環境ネットワークがスタートした。エコ・リーグ(全国青年環境連盟)のインターナショナルチームが窓口となり、国際的ネットワークであるTUNZA-NEAYENの日本部署という役割を担う。来年以降もこのTUNZA-NEAYEN会議は開催される予定であり、2007年度については日本で開催しようとの意気込みの元、多くの学生が活動を始めている。青年の国境を越えたつながりを創っていこうという人たちに是非このネットワークに参加していただきたいと思う。興味のある方は10期野田(g240147@hotmail.com)へご連絡いただきたい。

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