環境政策に関する勉強会

環境政策についての取り組み
  ―「新環境基本計画案検討会」と「環境政策勉強会」の報告―

 環境三四郎の上級生が中心となって、環境政策について取り組む試みを始めた。一つは「新環境基本計画案に対する検討会」(10月8日)、そしてもう一つは「環境政策についての勉強会」(11月11日)である。

新環境基本計画案に対する検討会

盛り上がったディスカッションの様子 新環境基本計画案とは、21世紀初頭における日本の環境政策の基本として環境庁が現在作成しているものだ。このタイムリーな政策について、三四郎も簡単な勉強をするとともに批判的検討を加え、三四郎としての意見をまとめる必要があるのではないか、ということで連絡会の中に検討の場が設けられた。検討会ではまず、新計画案が提示する「持続的社会のイメージ」について議論した。議論が集中したのは「持続的社会のイメージとして、環境価値・経済価値・平和・民主主義など明らかに望ましい要素を羅列するだけでは不十分。トレードオフの関係にもあるそれらを具体的にどう統合するのか」という点。先学期の持続的社会研究所の議論も踏まえ意見交換をした。また、新計画案が優先的に取り組むべきとする「戦略的プログラム」のうちいくつかについても、4年生及び修士のメンバー数名が概要報告と問題提起を行った。参加者からは「良い勉強の機会になった」という声がある一方、「玉虫色の表現が多く読みにくい」「政治的文書を検討するのは困難なのではないか」といった感想も多く、現実の政策に切り込む難しさが浮き彫りになった。

環境政策についての勉強

熱心に説明する発表者 「環境政策についての勉強会」の方は、複数の分野から環境政策について論じることを通じて各分野の方法論・考え方などを検討し共有することが狙い。4年生以上のメンバー4名が、各自の専門である経済学・司法・行政学・科学論といった分野からそれぞれ環境政策にどのようにアプローチするかということについて簡単に発表し、各分野の基本的な考え方や方法論についてディスカッションした。題目は表を参照のこと。それぞれ、各分野の基本的な考え方・理論が解説され、その後(1)では各種経済的手法についての説明、(2)では水俣病訴訟、(3)・(4)では吉野川第十堰論争、といった具体的事例についての説明がなされた。参加者の感想としては「普段触れない分野の話が聞けてためになった」「異なる分野に共通する考え方・概念が見えてきたように思う」など好評で、「今回は文系が中心だったが、次回は理系のメンバーにも卒研などと絡めて専門分野の解説をしてもらってはどうか」という今後の企画への意見もあった。

 (1)  環境政策と経済学  徳田(文学部4年)
 (2)  環境政策と司法   目々澤(法学部4年
 (3)  環境政策と科学   木村(総合文化研究科M1)
 (4)  環境政策と行政学  河原(法学部4年)

その意義は?

 これら2つの会は共に「上級生が各々の専門性を生かすことで環境政策に効果的にアプローチする」ことを目指して行った試みである。今後、三四郎は上級生に厚みが増してくることで政策を分析し提言するための能力は潜在的に高まると考えられるが、一方で「では上級生はどのような三四郎の活動ならその能力を発揮できるのか」ということがまだまだよくわかっていない。いろいろ試みていくことと、それを評価し次に生かしていくことが大切だろう。その意味で、ここで報告した2つの会は、上級生の専門性をうまく生かす活動であれば負担が少なくやりやすいこと、現実の政策に切り込む為には政治的表現を読みこなす訓練が必要であること、異分野交流はやり方によっては成功すること、など多くの示唆を含むものと思われる。

 いずれにせよ、これらは本当に簡単な試みであり、今後はこれらよりずっと質の高い環境政策についての取り組みの展開が期待される。と同時に、これらのような上級生を主体とした気楽な勉強会も定期的に続けていきたいと思う。

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