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岸野洋久
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氏名 岸野 洋久(Hirohisa Kishino)
所属 東京大学 大学院農学生命科学研究科(分子系統学、統計学)

参考文献
  • Kishino, H., Hanyu, K., Yamashita, H. and Hayashi, C. (1998).
    Correspondence analysis of paper recycling society:
    Consumers and paper makers in Japan.
    Resources, Conservation and Recycling. 23: 193--208.
  • Kishino, H., Hanyu, K., Yamashita, M. and Hayashi, C. (1999).
    Recycling and consumption in Germany and Japan: A case of toilet paper.
    Resources, Conservation and Recycling. 26: 189-215.
  • Yamashita,H., Kishino, H., Hanyu, K., Hayashi, C. and Abe, K. (2000).
    Circulation indices: New tools for analyzing the structure of material cascades.
    Resources, Conservation and Recycling 28: 85--104.

講義内容要旨

 収業者により集められた古紙は直納問屋で分別され、製紙原料としてメーカーに売られる。円高の影響もあって製紙パルプの輸入価格が大幅に下がり、加えて、自治体のリサイクル活動の活発化が古紙の供給過剰を生んだ。結果として回収業者の立場をますます悪くしてしまうという皮肉な問題が、深刻化した。こうした手詰りの状態を克服するには、リサイクル技術の成熟とともに、システム全体を通して古紙の供給と需要のメカニズムを追い、その問題点を定量的に把握して行くことが不可欠である。これまで住民のリサイクル行動、環境意識に関する研究は比較的蓄積されてきている。しかし、住民の消費行動との対応づけや、リサイクルシステムを構成する他の主体についての研究を行っているものはまれである。

 古紙の再利用は現在のところその多くが再生紙の原料としての利用に限られていることから、真のリサイクル社会を実現するために克服しなければならない問題が早い時点で顕在化する。この点が研究対象を古紙に絞りこんだ第一の理由である。さらに、消費者にとって再生紙とバージンものの選択に自由度の高いものという観点から、トイレットペーパーに焦点を当てて分析を行うことにした。

 国内外の関連主体へのインタビューとアンケート調査を重ね、得られたデータを対比分析する中で、おぼろげながら紙リサイクル社会のシステムを支える原動力と制約要因が浮き彫りになってきた。


持続的社会をどのように考えているか

 持続的社会はやはりビジネスにより動いており、消費者の強い関心が確実に社会を動かす決め手になっている、と実感しています。


受講生へ一言

 人間の生活が関係していない場合は、環境問題はあまり摩擦を生じません。摩擦が生じるのは、何らかの形で人の生活を脅かすからです。近視眼的にならず、どのような方策をとるのが本当の意味で成熟した持続的社会になるのか、一緒に考えたいと思います。


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