エコプロジェクト2000

 東京大学駒場キャンパスで毎年十一月終わりに行われる学園祭「駒場祭」。環境三四郎は、四年前から駒場祭における環境対策(通称Eco Project)に協力している。

基本はごみ対策 Reduce Reuse Recycle

ごみ集積場の様子 駒場祭の開催される三日間に来場する人は数万人といわれており、毎年大量のごみがでるため、環境対策の基本はごみ対策になっている。今年は、まずごみを減らす工夫(Reduce)をし、使えるものは出来るだけ再利用(Reuse)し、出たごみは徹底分別してリサイクル(Recycle)するという三本柱でごみ対策を行った。

Reduce

模擬店が立ち並ぶ銀杏並木 まずはごみを出さないようにしよう、ということで、いくつかの模擬店においてごみの出にくいメニュー「エコレシピ」を実施した。これは、二年前の五月祭で環境三四郎自身が行った容器ごみの出ないたこ焼き屋「たこプロジェクト」(えびせんべいにたこ焼きを乗せて販売)に端を発する試みであり、以来様々なアイディアが考えられ、実行に移されている。まだまだ模擬店全体に占める割合は少なく、来場者への知名度も低いが、新たな模擬店像の提案といえよう。

 また、今年は初めて残飯の堆肥化を行った。展示・実演を兼ねたエコステーションには、わざわざ残飯を分別して持ってきてくれる模擬店や、足を止めて熱心に説明に聞き入る来場者の姿が見られた。

Reuse

 一日に何軒もの模擬店を食べ歩くのが学園祭の楽しみ方の一つであるが、毎回新しい割り箸をもらい、一度しか使用していない割り箸をすぐに捨てるのはもったいない、ということで企画されたのが「一人一膳キャンペーン」。正門で袋入りの割り箸を渡し、一膳を何度も利用して模擬店をまわってもらおう、というのが狙いである。広報不足もあり、なかなか趣旨を理解してもらえなかったようだが、Reuseによって使い捨ての無駄を減らすという他に例を見ない企画であることから、来年以降の取り組みが期待される。

 なお、今回の駒場祭で使用された割り箸のほとんどは、間伐材から作られたものであった。これらは、材木を育てる過程でまびかれた木を製材するときに切り落とされた木片を有効利用して作られており、森林と自分達とのつながりを学園祭だけでなく日常生活でもよく使う割り箸について考え、森林と自分達との関係を見直してもらうきっかけとなって欲しいという思いが込められている。

Recycle

分別ができていないものは再分別してもらいます 四年前から行われてきたごみの徹底分別とリサイクルを今年はさらに強化して、ビニール・プラスチック類、割り箸・竹串、飲料用缶・ビン、ペットボトル、ビラ・冊子類、ダンボール、立て看板、可燃ごみ、不燃ごみの九種類に分別、可燃ごみ、不燃ごみ以外の七種類についてリサイクルを行った。従来は不燃ごみ扱いだったビニール・プラスチック類を分別してサーマルリサイクルにまわしたのが大きな変化であり、これによって大幅にごみとなる量が減少した。

 なお、今年は容器として昨年度までの発泡スチロールトレーの代わりに「エコトレー」を使用した。これは、バガス(さとうきびのしぼりかす)や葦・竹などの非木材の植物繊維を原料とした環境負荷の小さいといわれている容器である。本当に環境負荷が小さいかどうかはわからないとしながらも、バガスというごみを有効利用したり、森林保護のために非木材を使用したりする産業を紹介することで、このような取り組みが行われていることを知り、共に考えてもらうきっかけとなることを目指している。

人のつながり

当日の夜のミーティング 当日のごみ集積場には、東大以外の大学生の姿が何人か見られた。環境三四郎は「エコ学園祭ネットワーク」という学園祭で環境対策を行おうとする大学の学園祭実行委員及び環境サークルからなるネットワーク組織に加盟しており、そのネットワークのメンバーが見学がてら手伝いに来てくれたのだ。マンパワー面での助け合いや情報交換のみならず、マスコミへの情報発信を共同で行うなど、ネットワークを生かして活動の輪を広げている。

 また、当日は本郷にいる後期学部生、院生の三四郎メンバーも多数訪れ、環境対策を手伝っていた。ただ単に手伝うだけでなく、自分の研究を紹介したり、昔のEco Projectについて話したり、交流の場としての機能も果たしていることがうかがわれた。

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