フェアトレードバナナ

学園祭の模擬店でフェアトレード

フェアトレードバナナを使ったお菓子の模擬店 東大では、五月に本郷キャンパスで五月祭、十一月に駒場キャンパスで駒場祭がある。環境三四郎では、これまで学園祭のごみ対策を行う一方で、楽しみながらしかも環境に配慮した模擬店を実際に行い、新しいスタイルを提案してきた。一昨年の五月祭では、容器代わりに薄い煎餅、楊枝代わりにプリッツを使ったたこ焼き屋を開いた。(翌年以降このスタイルのたこ焼きを売る模擬店が定着しつつある。)

 今年の五月祭では、フェアトレードのバナナを使ったフィリピン料理のお店を開いた。「エビと日本人」に代表されるように環境問題を考える上で不可欠な生産と消費とのつながりについて考えようというのが主旨だ。最も身近な果物のひとつでありながら、どのようにつくられるのかがまったく知られていないのがバナナだ。日本で一番輸入量の多いフィリピン産のバナナは、広大なプランテーションでの過酷な労働条件のもとで生産されている。ネグロスキャンペーンというNGOでは、そのような貿易形態ではなく、小規模な畑で自然農法・無農薬栽培でつくり、公正な価格で買い取ったものを先進国の消費者に届けるという活動をしている。今回使用したバナナは、そのネグロスキャンペーンから購入したもである。

 今回の料理は、チーズまたはチョコをバナナと一緒に春巻きの皮で包んで揚げた、オヤツ感覚の食べ物である。これを、使い捨て容器ではなく薄焼き煎餅にのせて販売した。当日はお店の横にフェアトレードの説明の展示パネルと、配布用冊子「ポケットばなな事典」、そしてジュート製バッグ・サンダルなどのフェアトレード商品も並べられ、この珍しいメニューと併せて、来場者の関心を集めていた。外はサクサク、中はとろーり、のおいしさが大好評。1,2年生を中心に、黄色のスタッフTシャツ姿で、あつさに負けずせっせと巻いて揚げて頑張った甲斐あって、最終日にはほとんど完売したようである。

 今回の模擬店企画は、フェアトレードをテーマに、環境問題の学習と実践をセットにしたプロジェクトだった。そのため、事前にバナナやフェアトレードに関する勉強会も行って、当日を迎えた。「模擬店を通して一番伝えたいことは、バナナを作っている人がいるってこと。」と、飯田君(理科二類一年)。同じく田中さん(理科二類一年)は「バナナってこんなふうに作られていたなんて、全然知らなかったからびっくりしました。

 新入生を中心に後半の準備作業が進められたが、三四郎に入ってすぐにメンバーが得たものは、それぞれどのようなものだったろうか?何はともあれ両日ともに晴天に恵まれ、楽しい2日間となったようだ。

フェアトレードとは…

 フェアトレードとは、途上国の貧困問題の改善を、先進国が途上国に物質的・経済的な支援をするのではなく、途上国の生産者が継続的な生産活動を行い、生産の努力に見合う分の賃金が保証される状況を作り出すことによって達成しようという試みである。具体的には、例えば、フィリピンの農民が裏山で自然栽培してつくったバナナを日本の消費者が購入するといった具合で実現されている(今回のバナナはこのようなバナナ)。食品よりも衣類や手工芸品の方がフェアトレード商品として知られているかもしれないが、一口にフェアトレードといっても、企業やNGOにより目的がことなっていたり、生産国となる国や取扱品目も様々である。「国際協力」や「支援」の他に、フェアトレード商品のキーワードとしては「自然栽培=有機農法、無/減農薬」「伝統文化の継承」などが挙げられ、食の安全性やおしゃれだからという理由で購入する人も多いそうだ。また、産地の様子や取り組みの理念を伝えるために、生産者や生産方法に関する情報が詳しく消費者に与えられるので、しばしば「顔の見える貿易」とも言われる。

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