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最終回ディスカッション



目次
自己紹介・環境三四郎によるイントロダクション
論点1:被害者は弱者
論点2:欲望の追及
論点3:データの不十分性
総合ディスカッション

丸山真人佐藤仁小田盛川


自己紹介

Question

 総合文化研究科の丸山真人です。専門は政治経済学です。もっと詳しく言うと地域経済、地域社会学、環境経済学、経済人類学などです。つまりグローバルに考えてローカルにアクションするという心積もりで研究をしています。最近はローカルマネーの研究も行っています。


丸山真人
Question

 新領域創成科学研究科国際環境協力コースの佐藤仁です。考えていることは天然資源の管理についてです。特に発展途上国における資源政策や資源管理についてです。丸山先生とは反対で、ローカルに考えてグローバルに行動するということの可能性について考えています。


佐藤仁
Question

 文一1年の盛川です。税制とかのシステムから環境問題にアプローチするような考え方に興味があります。どうぞよろしくお願いします。


盛川
Question

 理三1年の小田です。分子生物学とかに興味があります。よろしくお願いします。


小田


環境三四郎によるイントロダクション

Question

 三四郎発表にて、水俣病を題材に、今までの講義を振り返ります。その中で、いくつか気になる要素(論点)をあげ、パネルディスカッションへつなげます。パネルディスカッションでは、それぞれの要素(論点)につき各先生の意見をうかがうことで、様々な視点からの「要素分析」をしたいと思います。

具体的に説明しますと、以後提示する要素は、

(1)環境問題のには、「被害者は弱者」  という一面もあって、
(2)欲望の追求 がひとつの大きな原因であり、
(3)(データの不十性による)不動の専門家  というシステムが悪化に荷担している。

以上3つです。

 これらに関して、各先生の意見をうかがうことで、様々な視点からの「要素を分析」をしたいと思います。要素を分析する、つまり、一つの要素(ある種の論点のことです)について、主に3つの点から考察していきます。

(1)様々な見方・アプローチの可能性を探る、(解決策の考案・提案、現在行われている解決策)
(2)実現可能性(解決策の現状・進行状況などをみる)
(3)解決を試みた際の、いい点・悪い点について考察(結果どうなるか)

そうすることで、講義のまとめとして、またこれからレポート課題として、「事例研究」に取り組む際に役立てもらえたら、と思います。

 また、これらの要素は、どの環境問題→さらには社会問題にも当てはめて考えてみられますから、みなさんの「事例」を以下の三つの要素で分析することもできると思いますし、他の要素を見つけて考察することも面白いかもしれません。また、今回の三つの要素が当てはまらない場合を、考察することも有意義でしょう。


田中

水俣病と地球環境問題を比較する動機

Question

 なぜ、水俣病と環境問題を比較するのか。一つには、今回、環境の世紀8では、原田先生・松原先生・宇井先生・(舩橋先生)と、多くの先生が水俣病を扱っていました。多くの先生が扱っていた題材を元にするのが、全体の講義をまとめやすかった、という都合もあります。

 もう一つには、環境問題は、公害がより複雑に・広範に発展したものである、との見解があります。しかし、なぜこれほど多くの先生が水俣病問題について話されるのか、を疑問に思った人もいるのではないでしょうか。

 ここで、質問です。以前から、(環境の世紀を受講する前から)公害と環境問題のつながりを意識していた、という方はどれくらいいますか。水俣病問題を地球環境問題は、異なる性質のものだと、思っていた人はどれくらいいますか。今もそう考えている人はどれくらいいますか。

 公害は過去の失敗、ローカルな問題で、地球環境問題とは規模が違うのだと思われていた人も多いと思います。もちろん、公害と環境問題とは、異なる要素も多いでしょう。まずはここで簡単に公害と環境問題との相違点について触れてみたいと思います。

 6・29に放射性廃棄物を事例に講義していただいた舩橋先生は、

1. 原因の拡散性のレベルが異なっている
2.公害の原因主体は企業などと特定できましたが、原因主体が個々の市民一人一人である。
3.汚染の自覚の困難性がある。現在、自動車の排気ガスを吸っていたって、すぐに死ぬわけではありませんよね.
4. 現前している事態と、予想される事態のギャップがあるということもある。

 これらの点が、環境問題を複雑、かつ解決をむずかしくしているといえるでしょう。しかし、原田先生・宇井先生・松原先生・舩橋先生の講義を聞いて、自分が共通点よりも、異なる点にばかりとらわれていたことに、気づかされた人も多いのではないでしょうか。今回は特に、現代の私達に見落とされがちな、水俣病と地球環境問題の共通点から、論点を挙げていこうと思います。


〜環境問題とは何なのか〜(フレーミングの問題)

Question

 そもそも、環境問題とは何なのか。講義の第1回のプレゼンテーションでも、問いかけました。佐藤仁先生のフレーミングの講義を思い出してみてください。

「なぜ一部の問題が環境問題とカテゴライズされ、特権的な身分を得ているのか。何が環境問題で何がそうでないのかすらも恣意的な枠決めである。」

 また、宇井先生は事後企画にて、このようにおっしゃいました。「日本の教科書には、圧力が働いており、そこに書かれていることは嘘でもないが本当でもない。日本の場合は、公害問題を環境問題から排除することで、環境省が残されたのだ。」

 なぜ、私達の多くが、共通点よりも、異なる点にばかりとらわれていたのでしょうか。原因の一つとして、私達の受けた教育があげられると思います。環境問題と公害が異なるものであるという印象を強く与えていたのです。

 実際に、公害問題の原点といわれる水俣病問題を元に、環境問題を考えつつ、各講義を思いだしていきたいと思います。地球環境問題について、水俣病問題と比較しながら整理してみましょう。



水俣病問題の構造について

Question

 水俣病の構造を簡単に図示して見ます。
 単純に教科書的な見方をすると、加害者はチッソという大企業で、被害者は水俣住民。しかし、被害者についてもう少し視野を広げてみましょう。(原田先生の講義を思いおこしてください。)直接的な加害者は、汚染源であるチッソですが、何もしなかった、極力何もしないようにはかった厚生省、そして行政,原因を攪乱することで水俣病つぶしに加わった東大などの国立大学・・・なども加害者といえるのではないでしょうか。
 厚生省は・・・何をしたか、何もしませんでしたね。松原先生は、何もしないこと、不作為にも責任があると主張していました。
 また、被害者の中でも差別構造がありました。特に貧困層が被害者。汚染の被害を受けた市民も、より貧しい人たち・重度の水俣病の人たちを差別しました。

 もう一つ、着目したいのは、チッソは水俣湾に水銀を流し、有機水銀が生物濃縮によって、人体を蝕んでいきました。なんのために水銀を使用していたのか、・・・塩化ビニルなどを作るために、アセトアルデヒドの触媒として用いられたのでした 、何のため・・・人間の暮らしを向上させるため、塩化ビニルという便利なもののために行われていた作業でした。つまり、水俣病問題がおこる背景には私たちの便利な生活があることを意識しておくことが必要です。

 水俣病ですら、加害・被害構造が明確に線引きできるものでもないですね。このぐらいで三四郎発表一段落させたいと思います。パネルディスカッションへうつりましょう。その前に簡単に論点をもう一度振り返って見ます。



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