五月祭 -新入生企画と環境対策

2002 年5 月25・26 日の両日、第75回を迎える東京大学全学の学園祭である五月祭が、本郷キャンパスで開催された。三四郎は、1年生主体の模擬店出店、1、2 年生主体の古紙回収、そして学年を問わず有志での環境ボランティアという3 種類の方法で五月祭に参加をした。それぞれの報告を以下にまとめる。(記事:竹内文乃)

新入生企画 --オーガニックなクレープ店--

新入生の五月祭への模擬店出店は、新入生同士の交流を目的にここ数年来定着している。毎年何とかして「環境問題」に関する三四郎の問題意識を打ち出そうと模擬店脇でのパネル展示などを行ってきたが、今年は一味違った。今年のメニューは有機野菜や果物を使ったクレープ。揃いの黄緑色のT シャツはPET 再生線維製。再生線維であることを示すフレーズやエコマークを環境三四郎の文字などとともに図柄に盛り込んだ。準備段階から店長を中心に驚くほどの団結力でみごと材料分を完売。夜には2 年生を交えて模擬店のテント内で野宿。お互いの話も尽きない様子でこれからの活動にも弾みがついたのではないだろうか。

佐藤直子さん(10 期:文科3 類1 年)は、 「1 年生中心で準備から当日まで準備をすすめてきて、非常に充実していました。これだけで団結して仲良くなったとまではいえないけど。風邪を引いたり、分担した分のチケットを売りさばけない人が出たり、いろいろなハプニ ングもありました。でも楽しかったです」と話していた。

初の徹底古紙回収

1,2年生主体で行った五月祭での古紙回収は、三四郎のきゃんぱすえころじー活動(以下:きゃんえこ活動と記す)の一環としてのプロジェクトであった。学生の昼の生活場所であるキャンパスをフィールドに身近な環境問題の目に見える形での解決をめざすきゃんえこ活動は、「Think Globally, Act Locally」の理念を受けて三四郎の柱のひとつとなっている活動である。

 今回は、五月祭で大量に配られるビラや冊子などを有効にリサイクルすることを目的とした。学園祭のようなイベントの場ではビラや冊子などの枚数制限など、ごみの発生抑制対策は難しい。また、ビラなどの上質紙は再生紙として何度かリサイクルをすることができるが油汚れなどがついてしまうと可燃ごみにせざるをえなくなるデリケートな資源である。そこで、今回の五月祭では2 箇所のメインとなる校門に三四郎のメンバーが張り付いて、直接来場者に古紙回収を呼びかけた。

当日は、五月とはいえ日中はかき氷が飛ぶように売れる晴天。炎天下の回収作業はかなり大変なものであった。その上、正門などの前にこれ見よがしにごみ箱を設置すると景観を損なうなどの苦情も出た。1、2年生のきゃんえこ活動メンバーは忍の一字で辛抱強くシフトをこなし、300 キロ強の古紙を回収した。五月祭でのこのような古紙回収は今年が初の取り組みだった。

労力の面なども含め、古紙回収の問題点が数多く浮き彫りになった。学園祭の場で得た今回の経験をこれから日常のキャンパスに活かしていく。

古紙回収を中心的に進めた眞重洋子さん(9 期:理科2 類2 年)は、「今回古紙回収は三四郎として初めての試みでした。結果期待したほど紙が回収できず、また長時間回収ボックスに張り付くことはつらかったですが、不要になったパンフレットなどを丹念に分けて出してくださる方もいて感激しました。環境に配慮する行動の場を一つ作れたと満足しています。」と話していた

4 年目、転換期の環境対策

三四郎が環境ボランティア的役割を持って五月祭全体の環境対策をサポートするようになったのは4 年前からである。五月祭の環境対策は環境配慮容器の推奨と、いわゆるごみの3 R(Reduce、Reuse、Recycle)を基本理念として行われた。具体的には、(1)準備・調理・販売・片付け段階でごみを出さない工夫をする模擬店を推進する。(2)パンフレットなどを通じての環境対策をPR し、ごみ減量を促す。( 3 )紙ごみやビニールごみをサーマルリサイクル(熱エネルギーを再利用)、生ごみと環境配慮型非木材製容器を堆肥化など、雑金属など一部のごみ以外すべてのごみをリサイクルルートに回す、の3つである。

三四郎のメンバーは、排出段階でのごみの徹底分別がリサイクル効率を上げるという意識で、夕立などの悪天候の中、当日のごみ分別の徹底に尽力した。学園祭のごみに焦点を当てると、その量はここ数年間増えつづけている。リサイクルにも力は入れるがごみの総量を少しでも減らしたいという願いで今年はごみの記名制も実施した。直接のごみの減量にはつながらなかったが、すべてのごみに排出団体を記名してもらった。自分のごみに責任をもつ、何年かかかってもその意識が浸透してくれば、ごみ減量対策の糸口が見つかるはずという思いでのはじめの一歩であった。来年以降の学園祭環境対策に期待をしたい

ページの先頭に戻る