水プロジェクト

水利用に関する調査を行い、環境の視点から私たちにできることを探る。そして駒場キャンパスにビオトープをつくるという構想の推進という2 つの目的を持って開始された水プロジェクト。2001年から構想が練られ、2002年夏から新入生も参加して活動規模は大きくなったが、少し活動が停滞しているようである。どのように活動を活発にするか、そして今後の目標と予定について水プロジェクト責任者の藤井康平さん(9期:文科2類2年)と細見暁彦さん(9 期:理科2 類2 年)に取材を行った。(記者:野上大介)

発足の背景目的

まず、このプロジェクトが始まった背景について聞いてみた。このプロジェクトの元になる活動は、2001 年1 月ごろに立ち上がったそうである。石弘之先生(新領域創成科学研究科)の講義で「21 世紀は水の世紀」というお話があったことなどから興味がわき、三四郎のメンバーの中で何人かが集まって活動を開始した。そして2002年4 月、新入生も活動に参加してもらうためにプロジェクトとして立ち上げることにしたそうである。

つぎに、プロジェクトの目的を聞いてみた。一つ目は、水の利用のされ方を知り、環境の視点から私たちにできることを探ること。二つ目は駒場キャンパスにおけるビオトープ構想の推進。この二つの目的のもとで活動を進めてきたそうだ。

1 つ目の水利用の調査では、多摩川を一つのモデルとして調査するということで多摩川の水質調査を行った。しかし、参加者の中で問題意識の共有が万全でなく、目的と手段が混乱してしまったために、参加意欲が弱くなってしまうなどの問題が起きた。

2 つ目のビオトープ構想推進は、当初キャンパス南西部に位置する坂下門近くのわき水周辺で行うビオトープ構想を推進する予定だったが、学部の計画策定などが予想以上にはやく進んでしまったために、意見を出すにとどまった。しかし、学生が意見を提出したということは教官側にとって非常にインパクトのあることだったそうで、キャンパス北東部に位置する一二郎池でも調査を行ってみては、と提案してくださったそうである。

今後の目標 -- 水フォーラムにむけて--

最後に、今後の目標・計画について聞いてみた。多摩川調査もビオトープ構想も、活動を仕切りなおして新たな一歩へとつなげる。多摩川調査では、理系専門色の強い分析は専門家に太刀打ちできないので、三四郎だからこそやれることという視点に立って、歴史や人間生活との関わりについても調査する。その上で、世界水フォーラム(来年3 月)にも成果を出せればとも考えている。ビオトープ構想は、一二郎池にかんする調査を行うことで、メンバーの興味関心を再確認した上で、教官とも積極的に関わっていきたいと考えている。教官と積極的に関わることで、説得力のある調査をしたり、視野が広くなったりすることもあるので、意義があると考えているそうだ。

取材を終えて

取材をしてみて、現段階ではまだ発展途上の活動だが、非常に大きな可能性を秘めていると感じたので、今後とも是非、頑張って活動して欲しいと思った。


 発足から一年を迎えた水プロジェクト(通称水プロ)。水利用に関する調査を行い、環境の視点から私たちにできることを探る・駒場キャンパスのビオトープ構想を推進するという2つの目的を持って開始された。

 多摩川で水質調査を行った。大学のビオトープ構想に意見を提出した。秋以降の活動を追うと共に、初めての引継ぎを終えた水プロの様子を垣間見たいと思う。プロジェクトの前共同責任者である藤井耕平さん(9期:教養学部3年)、現責任者の渡部春奈さん(10期:理科二類2年)に取材した。 【記者:田中敦子(8期)】

1年間の活動を振り返って

 「多摩川の水質調査では、学生としてできることの限界を感じた。不完全燃焼。」 そのような藤井さんの思いは、活動から遠のいた今、後輩に託されている。

 「正直なところ水プロは1年かぎりだと思っていた」と藤井さんは言う。反省点に、「目的が大きすぎた」と藤井さんは答えたが、引き継いでいこうと思った理由に「壮大な構想をこのままで終わらせたくなかった」と渡部さんは言う。渡部さんのやる気に、他の一年生もついてきてくれている。

引継ぎそして次の1年

 現在、一年生3人を中心にビオトープのみを対象にプロジェクトを進めている。 前共同責任者の細見暁彦さん(9期:工学部3年)は、ミーティングに参加はするが、基本的に一年生に任せるスタンス。

 多摩川はスケールが大きすぎるのでメインでは扱わず、代わりに水に関する企画を土日に単発で行う予定だそうだ。

 坂下門近くのわき水周辺で行う大学側のビオトープ構想案に、学生としての意見を提出し、その後もビオトープ案は順調に進んでいるようだ。

 今後活動の目下の目標は、11月までに大学にキャンパス内ビオトープの企画書を提出することだ。どのような企画書になるかは調査結果次第。管理は誰がやるかなど、作った後のことも考え、作るか作らないかから慎重に検討する。大規模になれば、ビオトープの工事を大学側に委託することも考えている。5月頃から本格的にアセスメントを始める予定だ。

取材を終えて

 「周りを気にせず活動してほしい。自分達が楽しいように活動することが一番大切。」という藤井さんの言葉が印象に残った。

 「ビオトープの合間をぬって、利き水・下水処理場見学・家庭節水対策会議・潮干狩り(干潟の水質浄化効果を知る)などを企画しています。あくまで楽しむために行います。」渡部さんの言葉は、とても頼もしい。

 高校のときから、水質調査を経験し、興味をもっていた渡部さんは、水質調査をすると聞いて、三四郎に入ったそうだ。今年も新歓には力が入る。

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