「脱・環境配慮型製品」開発プロジェクト

活動紹介

近頃よく見かけるようになった「地球に優しい○○」。でも実は使いにくかったり魅力的でなかったり、、という経験はないだろうか。商品自体に魅力がなくては、いくら環境にいいからといっても買ってはもらえない。 必要なのは、「すごく便利だったりハッとする発見があったりで、しかもエコ」な製品であろう。 そんな発想から始まった通称「脱プロ」も始動から半年を迎えた。今回は中心となって活動している佐藤宗彦さん(10期:理科1類2年)とメンバー達6人をミーティング後に取材し、これまでの活動や今後の展開などについて話を伺った。〔記者:大竹史明(4期)〕

「環境配慮」から「実は環境にもいい」へ

ミーティング風景 このプロジェクトのコンセプトを一言で言うと、「売れる環境配慮型製品」つまり「魅力的な上に、実は環境にもいい製品」を作ることである。 最初から環境負荷低減を目的として作られた製品は必ずしも消費者のニーズに合致せず、結果として広くは浸透しない。 つまり「消費者が求めるポイントと環境にいいポイントとの間にズレがあるんです。 だから逆に、消費者のニーズからスタートして環境配慮に行き着くことで、そのズレを埋められるのではないかと考えたんです。」と佐藤さんは語る。 脱プロ始動のきっかけは今年1月に全体企画として開かれたワークショップだったと言う。 「来年度やりたいこと」のブレスト中に佐藤さんが提案、そのアイディアに賛同者が集まって始動、4月からは11期を迎え精力的に活動している。

「イイっす」「スイート☆ウォール」でコンペに出場

これまで半年間の活動は、コンペへの出品を一つの目標として進められてきた。 デザインウェーブ開催委員会主催の富山プロダクトデザインコンペティション2003(テーマ『マンションの収納』)への出品を5月に決定、7月の締切までに2作品のデザインが完成した。 その名も「イイっす」と「スイート☆ウォール」。どちらもスペースのないマンションでのごみ収納に着目したものだ。

「イイっす」は椅子の下をごみ収納に利用することで省スペースを図り、内部の仕切の位置を変えられるためスペースの無駄なく分別回収できるというスグレモノ。

「スイート☆ウォール」はキッチンと玄関の間のスペースを収納に利用し、様々な利用価値がある上にごみの分別回収にも役立つという、建築デザインのレベルでの提案だ。

残念ながらコンペでの入選を果たすことはできなかったが、「コンペを目標に創造する作業は楽しかった」と一年生達は口を揃える。 神戸康聡さん(11期:理科1類1年)は「コンセプトを実際に形にすることの難しさをまずは知りました。」、藤野薫さん(11期:理科2類1年)は「環境に優しい素材を調べるなどして勉強になりました。」と、充実した取り組みが伺えた。

「結果的につながる」ことの難しさ

佐藤さん しかし佐藤さんは今回の結果に必ずしも満足していないようだ。 「最初から環境配慮を考えるのなら簡単でしょうが、今回のコンセプトである、真っ向から環境配慮に向かわずして結果的には環境配慮につながる、ということの難しさを知りました。」 考えてみればこれは、あらゆる環境活動に共通の課題と言えるだろう。

人は環境改善を目的に生活している訳ではない。 特定の効用を得んとしている人に対して、如何にして効用を損なうことなく結果的に環境配慮型の生活を選択してもらうか。 この環境問題におけるメインテーマに真っ向から取り組むプロジェクトだけに、一筋縄で答えが見えないのも当然と言えるだろう。

今後:コンペは手段にして目的

「コンペへの出品は、目的であると同時に実は手段でもあるんです。」と佐藤さんと広瀬雄一郎さん(11期:理科1類1年) コンペを目指す中で、素敵なライフスタイルとは?そこに共存しうる環境配慮とはいかなるものか?、メンバーで考えを共有していく過程自体も大切な目的なのだ。

脱プロメンバー次のコンペに向けて「まず新しいライフスタイルというものを考えることを主眼とし、そこに必要となってくる新しいモノ・新しいサービスを詰めて行こうと話してるんです。」と青山俊輔さん(11期:理科1類1年)が話してくれた。 自分の「ライフスタイル」を見失いがちな現代、「ライフスタイル」をもう一度創造し「モノ」を提案する。「この戦略で、小泉産業(株)主催の第17回コイズミ国際学生照明デザインコンペ(テーマ『地球環境ー持続可能性の明かり Light for sustainability』)に再挑戦します。」と佐藤さんは意気込む。 山内文夫さん(11期:理科1類1年)ら新メンバーが加わり、脱プロは更なる盛り上がりを見せている。

ページの先頭に戻る