環境の世紀XI
〜講義日程&講師紹介〜


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 PDFバージョンはこちらです。授業で配布される「講師紹介冊子」のPDF版となっています。




講義日程(敬称略)

 各回とも開講時限は5限(16時20分〜17時50分)、教室は11号館1108教室です。
 なお、講義に引き続いて6限(18時〜19時30分)に、1109教室で「環境の世紀ゼミ」が開講ます。

講師講義タイトル
第1回4月14日丸山真人「イントロダクション」
廣野喜幸「環境「問題」の問題性・問題点」
第2回4月21日小宮山 宏「環境問題と知識の構造化」
第3回4月28日村上 雅博「地球水環境と国際紛争の光と影、国際協力の課題」
第4回5月12日花木 啓祐「都市の活動とそれがもたらす環境負荷」
第5回5月19日ハインツェ・ウルリッヒ「ドイツの環境政策の実状」
第6回5月26日丸山 真人「環境と人間の経済」
第7回6月2日村上 陽一郎「世代間倫理について」
第8回6月9日森田 茂紀「作物栽培と環境」
第9回6月16日後藤 則行「環境三四郎による事例研究」
第10回6月23日山口 猛央「水素化社会における燃料電池と技術の現状」
第11回6月30日家田 仁「地球環境と人口減少〜都市の姿と交通の姿はどうあるべきか」
第12回7月2日山下 晋司「グローバル化の中の環境問題:マレーシア・サバ州のエコツーリズム」
第13回7月7日山下 英俊「東大に環境学は可能か」


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講師紹介

廣野 喜幸(Yoshiyuki Hirono)先生
 
○現在の所属
大学院総合文化研究科・教養学部広域科学専攻
○略歴
1983年 東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)卒業
1990年 東京大学大学院理学系研究科(相関理化学専攻)修了
1998年 東京大学大学院総合文化研究科講師
1999年 同助教授 現在に至る 
○ホームページ
現在改変中につき一時閉鎖しています。そのうち公開します。
○主な著作
廣野喜幸・市野川容孝・林真理編『生命科学の近現代史』 勁草書房 2002
小林傳司編『公共のための科学技術』 玉川大学出版部 2002
ほか
○授業内容
 かつては環境保全か開発かの対立が深く、保全派はそもそもなぜ環境を守らなければならないのかの理由付けからはじめなければならなかった。近年エコ・ブームになり、そうした手間が省けるようになったことは実に喜ばしい。しかし、そのエコ・ブームが環境問題の解決にどれほど効果をあげているのだろうか。ブームによってかえって足をすくわれるおそれはないだろうか。初回は、環境問題の問題性について捉え返し、今日のブームをいかにして実のあるものたらしめるか、さらに、環境問題について、学生諸君にどのような姿勢が求められるのかについて、ともに考えていく予定である。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 ない。予習が必要であるような話をするつもりはまったくない。講義中に頭脳をフル回転させること、そこで問題意識を養うことが肝要であろう。
○お薦めの本
・レオポルド『野生のうたが聞こえる』新島義昭訳、講談社学術文庫(1997)
 環境問題がその問題性をあらわにした後で環境問題に取り組むことももちろん非常に重要である。だが、あることがらの問題性が一般的に受け入れられていないときにその問題性を提起することは負けず劣らず、いやいっそう重要であろう。こうした先駆性が本書にはある。まだ環境問題の問題性が隅々にまで精査されていない時代の著作であるので、さまざまな限界をもってはいる。ここでも本書に建設的な批判精神をもって読み解くことをお勧めしたい。
・辻信一『スロー・イズ・ビューティフル』平凡社(2001)
 世はますますめまぐるしくなっている。しかし、環境問題で重要なのは、めまぐるしさに伴うわれわれの高エネルギー消費文化をエコロジカルなものに変えていくことにあるのではないかという感を最近ますます強めている。われわれに必要なのはもっとゆったりと生きることなのではないだろうか。あくせくと環境問題に取り組むことは、どこかおかしいのではないか。そうした思いをいっそう深めてくれたのが本書である。本書も、そしてレオポルドの本もゆったりと読んでほしい。
・岸由二『自然へのまなざし』紀伊国屋書店(1996)
 岸さんのしなやかなあり方は、環境問題に取り組む際のひとつのモデルとなるだろう。
○学生の頃何をしていたか
 父親の会社がつぶれ、数千万の借金を背負い、また私自身も「五月病」(かような古い言葉をみなさんはご存じだろうか)にかかり、1年次はそのために休学した。復学以降は、遅れを取り戻すため無我夢中で日々を過ごしていたように思う。のんびりと日がな一日生物をながめ、あきたら温泉につかる日々が目標であったし、その目標は今も変わりはない。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
きっかけ:ユクスキュルの本を読んだこと。
あなたにとって…:「人はパンのみで生くるにあらず」(『マタイによる福音書』4章4節)。私にとって生をしてパンを超えさせるもの。
○現在環境問題に対して何を行っているか
・「順応管理」を思想の次元でより深く把握すること。
・環境リスク論と予防原則の再検討
・環境教育のあり方にも取り組んでいたが、これは環境省から研究費を貰い損なったので、挫折しています。
○趣味・特技
温泉めぐり。漫画論。系図調べ。
○今の学生へメッセージ
 クリティーク(批判・吟味)という知的作業が出来るようになってほしい。私も含め、教師の鵜呑みにし、受け売りすることは、クリティークからはほど遠いあり方である。また、自己のあり方にもそうしたクリティークのまなざしを向けてほしい。
「きみと世界が対立したときは、世界を支援せよ」(カフカ)



小宮山 宏 (Hiroshi Komiyama)先生
○現在の所属
東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻
○略歴
昭和44年 東京大学大学院工学系研究科化学工学専門課程 修士課程修了
昭和47年 同博士課程修了・工学博士 同助手 昭和52年 同講師
昭和54年 昭和53年度 化学工学協会論文賞を受賞
昭和56年 同助教授
昭和63年 東京大学工学部化学工学科教授 現在に至る
この間、昭和48年10月から1年間、カルフォルニア大学(デービス)ポストドクトラルフェロウとして研究
平成5年 平成4年度 化学工学会研究賞を受賞
平成12年4月?14年3月 東京大学大学院工学系研究科長・工学部長
平成14年4月?15年3月 化学工学会会長
平成15年4月?     東京大学副学長
○主な著作
「太陽光発電工学」         日経BP 2002年
「地球持続の技術」         岩波新書 1999年
「理系のためのサバイバル英語入門」 講談社 1996年
「入門熱力学」           培風館 1996年
「反応工学」            培風館 1995年
「地球温暖化問題に答える 」     東京大学出版会 1995年
「機能材料プロセス工学」      オーム社 1994年
「地球環境のための地球工学入門」  オーム社 1992年
「地球環境のための化学技術入門」  オーム社 1992年
「CVDハンドブック」       朝倉書店 1991年
「速度論」             朝倉書店 1990年
「地球温暖化問題 ハンドブック」(株)アイ・ピ・シー 1990年
○ホームページ
http://www.komiyama.t.u-tokyo.ac.jp/
○授業内容
 地球社会の持続的発展に関して、物質とエネルギーの面から、理論、現 実、技術の3つの観点から考え、理論と現実の隔たりを狭める役割としての技術について事例を用いて検討する。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 身の回りの技術をひとつ、自動車でも暖房でもなん でもよいから取り上げて、その
エネルギーについて、理論、現実、技術とは何なのか考えてみてきてください。
○お薦めの本
 「地球持続の技術」小宮山 宏 著 岩波新書
 「地球温暖化を防ぐ 20世紀型経済システムの転換」佐和 隆光 著 岩波新書
○学生の頃何をしていたか
 悩み、クラブ活動をし、勉強もしました。皆さんと同じです。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 正直に言うと、きっかけは研究費が出たことです が、科学技術者としての使命だと思っています。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 要素技術と全体像との整合性をもったシナリオ設計。
○趣味・特技
 残念ながら今ありません。
○今の学生へメッセージ
なんでもいいから、一所懸命、元気にやってください。



村上 雅博 (Masahiro Murakami)先生
 
○現職
 高知工科大学・工学部・フロンティア工学コース 教授
 高知工科大学・大学院・工学研究科・基盤工学専攻・社会システム工学コース 教授
○略歴
生年月日: 1948年 3月29日生まれ
学歴: 1966年3月 東京都立南多摩高等学校卒業
1971年3月 秋田大学 鉱山学部 鉱山地質学科(応用地質学講座)卒業、工学士
1973年3月 秋田大学 大学院 鉱山学研究科 修了、工学修士
学位:    1992年1月 工学博士(東京大学)、 論文(工学部 土木工学科)
称号(資格): 1985年1月 技術士(応用理学部門 : 水理地質、No.22080)
1988年1月 技術士(建設部門 : 治水・利水計画、No.24574)
職歴:
1997-現在:高知工科大学・工学部・フロンティア工学コース、大学院・工学研究科・基盤工学専攻・社会システム工学コース 教授
1996-1999: 国連大学・学術局プロジェクト研究 ''96-“97 コーディネータ 兼務、Hydro-politics and Eco-political Decision Making研究企画・編集幹事
1996-1997: 世界銀行・コンサルタント、中東和平多国間交渉環境部会ワーキンググループ(チュニジア下水処理水再利用と砂漠化防止)
1995-1999: 東京都立大学理学部講師 (非常勤) 兼務、自然地理学特殊講義 II、大学院・地理情報特論
1994-1996 (株)コーエイ総合研究所 主任研究員、国際協力と和平協力、および生態系環境管理システム/バイオマニピュレーション研究
1993-1994 日本工営(株)中央研究所 参事、地球/都市スケール環境管理システム、国際開発論、国際水政治学に関する研究
1993-1996: 東京都立大学工学部講師 (非常勤) 兼務(現在に至る)、大学院工学研究科 土木工学専攻コース(社会工学特論)
1990-1991: 東京大学 生産技術研究所 受託研究員、乾燥地における非伝統的な水資源開発・管理計画に関する研究(クエート、イスラエル、ヨルダン、エジプト、米国、現地研究調査)
1992-1993: 国連大学・学術局コンサルタント兼務、国際水資源管理と紛争防止および水政治学に関する研究企画開発に従事
1991-1993: 日本工営 (株) 技術開発本部 情報システム部 次長 地球環境/ エネルギー・水循環システム、地球温暖化と都市温暖化および地理情報システム (GIS) と衛星リモートセンシングの応用技術に関する開発研究
1988-1990: ヨルダン エル・ジャファル水系水資源開発計画調査、副総括担当、(JICA)
1985-1988: ヨルダン ムジブ水系水利用計画調査、副総括担当、(JICA)
1984-1985: ヨルダン渓谷開発公団 (JVA) ムジブII 灌漑計画調査、レジデント・エンジニア兼、プロジェクト・マネージャー代理 、(ヨルダン政府)
1984: 日本工営 (株) 海外事業部 計画調査部 副参事
1981-1984: マレーシア 「全国水資源マスタープラン 計画調査」、地下水/ダム担当、(JICA)
1980-1981: インドネシア「ウリンギ、ガルン・ダム 計画設計調査」、基礎設計エキスパート・エンジニア、(アジア銀行、OECF)
1977-1980: ホンジュラス「チョルテカ平野 地下水灌漑・治水計画調査」、地下水調査担当、レジデント・エンジニア、(世界銀行 ; IDA)
1977: ホンジュラス「テグシガルパ新空港計画調査」、基礎設計担当、(JICA)
1976: シリア「メスケネ灌漑計画調査」、基礎設計エキスパート・エンジニア、(シリア政府)
1976-1980: 日本工営 (株) 海外事業部 建設管理部 技師
1973-1976: 東京大学 工学部 土木工学科 研究生
○ホームページ
個人のものはありませんが、国連大学(UNU)のWebsite(UNUP)の出版案内のEnvironmentに掲載されている以下のアドレスを参照して下さい。<今回の講義で使用するテキストでもある私の代表著書の全文が掲載されています>
http://www.unu.edu/unupress/index.htm
http://www.unu.edu/unupress/unubook80858e/80858E00.htm 
○授業内容
○国際協力 -発展途上国の国造り・人造り-
○国際社会が取り組むべき最優先課題 -水と環境と平和-
○国際河川の紛争と予防・解決 -ヨルダン川、ユーフラテス・チグリス川、ナイル川、インダス川、
コロラド川、ドナウ川-
○国家と水資源 -中東和平と水-
○紛争解決と開発援助
○戦略的(非伝統的)水資源開発の代案計画
○地球水資源開発プロジェクト -グローバル・スーパー・プロジェクト-
○水貧困(乾燥)地域の水の危機回避にむけて何をすべきか
 以上のメニューから、世界の最大の問題になっているイラク問題と国際協力・復興支援および中東和平と日本の役割について水と環境の問題から整理した文理融合型の講義のシナリオを考えています。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 出来れば、新聞やテレビやWebsiteの国際政治(イラク・中東紛争にかかわるもの)にかかわる一般的な情勢についても目をとおしておいて下さい。
○お勧めの本
 この分野の本は文系(国際政治や国際関係)が圧倒的に多く、理系からの紛争や平和構築にチャレンジしている本はそう多くはないようです。とりあえず今回の本講義に関係する私の著書を紹介しておきます。基本的な参考書(●)は“水の世紀(2003)”ですが、もともとの英語版の国連大学から出版された, “Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies(1995)”は全文UNUのWebsiteに一般公開(無料)されていていますので
E-mail:Sales@hq.unu.edu
Fax.+81-3-3406-7345
http://www.unu.edu/unupress/index.htm
http://www.unu.edu/unupress/unubook/
 にアクセスしてみて下さい。
●村上雅博、”水の世紀 -貧困と紛争の平和的解決にむけて-“、日本経済評論社, 2003  
●Masahiro Murakami, “Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies”, United Nations University Press (国連大学出版局), Tokyo -New York? Paris, 1995
●喜田由紀子・編、山田国広、島谷幸宏、福川彰、柴村龍太、飯島博、沖大幹、渡邊紹裕、中山幹康、村上雅博、高見邦雄、“水を巡る人と自然 ?日本と世界の現場から-”、有斐閣,pp.297-328、2003
○米盛稔、平田健正、村上雅博、“土壌圏の管理技術、地球環境のための技術としくみシリーズ4”、コロナ社、pp.181-214, 2002
○Biswas, A.K., Kolars, J., Murakami, M., Waterbury, J., and Wolf, A., “Core and Periphery : A comprehensive approach to Middle Eastern water”, Oxford University Press, pp.117-155, Delhi, 1998
○Kobori, I., & Glantz, M., Golbev, G., Zadeh, M., Murakami, M., Tsukatani, T., Wolf, A., “Central Eurasian Water Crisis Caspian, Aral, and Dead Sea”, United Nations University Press, pp.155-182, 1998
○福嶋義宏・監修、村上雅博・総編集、“地球水環境と国際紛争の光と影”、信山社、1995
○Murakami, M and Musiake, K., "International Waters of the Middle East : from Tigris-Euphrates to Nile", Biswas, A.K., ed. Oxford University Press, Bombay/London, pp.117-155, 1994
○学生の頃何をしていたか
はじめの頃は高校時代からやっていたテニス、途中からは市民オーケストラでコントラバスを弾いていました。バスはたった一人で弾いていたので下手でも意味の有る存在であったかもしれませんね。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは
 1970年代ですけれど、宇井純さんの公害原論が出た頃に、水(地下水公害)と環境の関係に興味を持ちました。やはり、人間との関係で発展途上国を視野に入れた環境問題が興味の対象です。
○現在環境問題に対して何を行っているか。
それでは一例に、つい先週に全国から公募した学生10名を率いて実施した「途上国の環境問題を見て考える全国学生ツアー」ヨルダン川流域の水資源管理・上下水道整備とオランダ(ライン川)自然再生プロジェクトの現地視察、を紹介しましょう。
主催:土木学会(担当:環境工学委員会・海外環境教育に関する小委員会、委員長・村上雅博)
日時:2004年3月5-11日(7日間) 
対象:全国の大学生、大学院生、教職員、その他土木学会関係者
研修の目的: 海外(発展途上国を主体とする)の環境問題の現場を視察し、現地の技術者や研究者との交流・意見交換を行うことを主目的としています。今回は構造的な水不足に悩む中東(乾燥地帯)ヨルダン川流域の水資源管理・上下水道整備と世界の最先端を走るオランダの水界生態系管理(バイオマニピュレーション)・自然再生プロジェトの現場を合わせて訪ねます。
今は、水と環境と平和をテーマにして研究を進めています。
○趣味・特技
 ワールドヘリテージ、未知の世界の国を尋ね歩くこと(できるだけカミサンと一緒に旅行するようにしています)、隠れた趣味は気分転換の料理(将来の夢はシェフ)、ほんの少しだけど色々な国の言葉を片言しゃべります。
○今の学生へのメッセージ
地球の歩き方から始め、未知の世界、研究のヘリテージにチャレンジ



花木 啓祐 (Keisuke Hanaki)先生
 
○現在の所属
 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻(都市環境工学)教授
○略歴
1975年3月  東京大学工学部都市工学科卒業
1980年3月  東京大学大学院工学系研究科都市工学専門課程博士課程修了、工学博士
1980年4月  東北大学工学部土木工学科助手
1983年4月  東京大学工学部都市工学科助教授
1985年4月  アジア工科大学院(バンコク)環境工学科助教授に派遣
1987年4月  職務に復帰
1991年2月〜9月  アメリカ・ピッツバーグ大学工学部土木工学科客員助教授
1992年11月  東京大学工学部都市工学科教授
1993年1月  東京大学先端科学技術研究センター都市環境システム分野教授
1998年4月  東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授
2002年4月  東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター長(併任)
 現在に至る
 
その他
東南アジア水環境制御研究センター(Southeast Asian Center for Water
Environment Technology, SACWET)@バンコク 共同センター長
○主な著作
「都市環境論」岩波書店環境学入門シリーズ(2004年出版予定)
○ホームページ
http://www.env.t.u-tokyo.ac.jp/~hanaki/index-j.html
○授業内容
「都市の活動とそれがもたらす環境負荷」
 直接負荷と誘発負荷
 都市活動による環境負荷の違い
 環境負荷を下げる戦略
 環境負荷とQuality of Lifeのジレンマ
○講義までにしてきておいてほしいこと
 1週間の行動を振り返り、自分の行動がどのような環境負荷を生み出したか、それは減らせる可能性があったか、環境負荷と引き換えに得たものは何であったかを考えてきて欲しい。
○お薦めの本
 センセーショナルな書き方の一冊の書物で得た知識を受け売りすることは危険である。環境問題は様々な考え方を認めあって解決をしなけらばならない。一人の著者の本だけではなく、さまざまな著者の本を読むことが必要。インターネットのサイトの中には、(わざと)誤っているもの、商業目的のもの、根拠のないものも多い。環境省のサイトは充実していて信頼できる。http://www.env.go.jp/index.html
○学生の頃何をしていたか
 2年生の最後に東京の都市問題を対象にして五月祭の企画をしたことが非常に印
象的だった。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 私が大学に入った1970年はいわゆる「公害国会」が開かれて、今日の環境の法律の基礎が決められた年。ちょうど、環境問題(公害問題という言葉の方がふさわしかった)に対して、「産業と経済の発展のためなら多少の公害があってもやむを得ない」という考え方から「ある程度発展したのだから、そろそろきっちり対策をとるべき」という方向に一般の社会の見方が変わって行きつつあった頃だった。その中で無意識のうちに環境問題の解決に役に立ちたいという気持ちからこの道に入った。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 現在の教育と研究の内容は100%環境問題の解決のためのものである。環境問
題の解決にはそれぞれの立場から貢献をすることが必要である。大学でしかできない
ことをするように心がけている。
○趣味・特技
 持ちたいと思っているが・・・
○今の学生へメッセージ
 日本がこれから世界に貢献するのは「知恵」である。知識は今や制御できないほどあふれている。その知識や経験をどのように生かして問題を解決していくか、それが知恵である。成熟した国として世界に貢献するのは、未知の問題、未解決の問題に対する知恵を生み出せる人材である。これは環境問題に限らない。持続可能な社会の形成、人間がどのように技術を使いこなすか、今の日本の社会にどのように活力をもたらすか、などなど、知恵が求められている。記憶する知識ではなくて、問題を解決できる知恵を持って欲しい。



Ulrich Heinze [ハインツェ・ウルリッヒ(葉印杖・有利)] 先生 

○現在の所属
 東京大学教養学部ドイツ科外国人教師
○略歴
 ベルリン自由大学で博士号取得後、放送局(NDR)入社。
 2年間の奨学金で東京大学社会情報研究所で研究員。
 2001年から駒場キャンパスで勤務。
○主な著作
 ハインツェ・ウルリヒ「ドイツでラジオはどのように聞かれているのか。文化によって違う聞き方・聴取習慣について」 (Wie wird in Deutschland Radio gehört? Einige Merkmale des kulturspezifischen Hörverhaltens). In: ヨーロッパ研究, Vol. II, Tokyo 2003, S. 65-74.
○ホームページ
 http://deutsch.c.u-tokyo.ac.jp/heinze.htm
○授業内容
 ドイツの環境に対する具体的な対策、環境意識、環境概念、環境実情
○講義までにしてきておいてほしいこと
 特になし
○お薦めの本
 ベック・ウルリヒ『リスク社会』と百瀬満『ドイツの生活空間と文化を楽しむ』
○学生の頃何をしていたか
 いくつかの新聞社で実習、社会学に没頭、映画館に通う
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 エネルギー浪費、環境意識のなさ、米政府の環境保護への協力拒否
○現在環境問題に対して何を行っているか
 ごみ分別、息子を対象に環境教育、消費のより少ない自動車を使うこと
○趣味・特技
 サッカーの試合を見ること(今は2004年欧州選手権)、藤原紀香の本と映画を楽しむこと、日本語能力試験のための準備をすること。
○今の学生へのメッセージ
 継続はチカラなり
○自由欄・キーワード等
 2006年にドイツで行われるサッカーW杯を観戦して、日独関係をさらに強めるのにご協力下さい



丸山 真人 (Makoto Maruyama)先生
 
○現在の所属
 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻
○主な著作
・(共著)杉浦克己・柴田徳太郎・丸山真人編著『多元的経済社会の構想』日本評論社(2001年)
・渋谷博史・丸山真人・伊藤修編『市場化とアメリカのインパクト』東京大学出版会(2001年)
・(論文)「循環型社会と物質代謝」岩波講座「環境経済・政策学」第7巻『循環型社会の制度と政策』岩波書店、2003年、11-40頁
○授業内容
 環境問題は人間の経済活動と相即不離の関係にある。経済活動に伴う環境の変化と、環境の変化がもたらす経済活動への制約について、経済学がどのように取り組み、説明しているのかを紹介し、学問としてのエコロジーとエコブームとの違いを明らかにする。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 とくになし
○お薦めの本
 玉野井芳郎『エコノミーとエコロジー』みすず書房
 細田衛士『グッズとバッズの経済学』日本評論社
○学生の頃何をしていたか
 好きな勉強だけをしていた(たとえば語学の授業をサボって『資本論』を読んでい
た)
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 高校生の頃知った森永砒素ミルク中毒事件と4大公害裁判。大学では宇井純先生の「公害原論」。その後、スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故などの核汚染問題について考えたことが現在の環境問題への関心につながる。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 学問的に明らかに出来ることをとことん追求しようとしている。とくに、エコロジカル・フットプリント・アプローチの有効性を見極めようとしている。また、実践的には地域通貨の環境問題への応用を考えつつある。
○趣味・特技
 もともと旅と読書が好きだったが、最近は単なる願望に変わりつつある。人生それ自体が旅であり、書物なのかもしれない。
○今の学生へメッセージ
大学で人から教わることは多いが、それにとどまることなく、自分で学び発見する喜びを味わって欲しい。




村上 陽一郎 (Yoichiro Murakami)先生
 
○現在の所属
 国際基督教大学大学院教授 東京大学名誉教授
○略歴
 1968年 東京大学大学院人文科学研究科終了
 1965年 上智大学理工学部助手 1971年 同助教授
 1973年 東京大学教養学部助教授 1986年 同教授
 1989年 東京大学先端科学技術研究センター教授 
 1992年 東京大学工学部教授
 1993年 東京大学先端科学技術研究センター長
 1995年 国際基督教大学教授
 2002年 国際基督教大学大学院教授
○主な著作
 西欧近代科学-その自然観の歴史と構造 (新曜社)
 新しい科学論 (講談社ブルーバックス)
 科学者とは何か (新潮選書)
 安全学 (青土社)
 科学の現在を問う (講談社現代新書)
○ホームページ
 http://subsite.icu.ac.jp/sts/
○授業内容
 環境問題に関しては、公害とは異なり、現在の「危険」は必ずしも大きくないに も拘わらず、将来予見される「危険」が異世代にとって、どうであるか、という問題 意識で論じられることが多い。そこに例えば「予防原則」(precautional principle)などの問題も生まれてくる。本講義ではその辺に焦点を当てて考えてみたい。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 とくにありません。
○お薦めの本
 かつて私に衝撃を与えた書物としてリン・ホワイト『機械と神』(青木靖三訳、みす ず書房)を、また大変啓発された書物としてロデリック・ナッシュ『自然の権利』 (松野弘訳、TBSブリタニカ)を挙げておきます。
○学生の頃どんなことをしていたか
 勉強。チェロ。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/先生にとって環境問題とは?
 きっかけは、科学・技術に関心を持っている以上否応無く。
 あなたにとってXとは、という問を私は好みません。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 どういう意味かよく判りませんが、太陽エネルギー利用装置をつけているか、とか自 動車に乗らないようにしている、とかいうような答えが期待されているとすれば、何 も、とお答えするほかはありません。
○今の学生へのメッセージ
 特にありません。
○趣味・特技等
 能楽、古典落語(ただし、小さん師匠の死後は、関心のある落語家はほとんどありません)、チェロは趣味というにはチェロに少し気の毒な気がします。
○自由欄・キーワード等
 とくにありません。




森田 茂紀 (Shigenori Morita)先生
○現在の所属
・東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻(耕地生圏生態学研究室)教授
・鳥取大学乾燥地研究センター客員教授
○略歴
 1981年 東京大学大学院博士課程単位取得退学
 1981年 東京大学助手
 1983年 東京大学農学博士(博士課程修了)
 1988年 アメリカ農業省外国人客員研究員併任
 1989年 東京大学助教授
 2002年 東京大学大学院教授(鳥取大学乾燥地研究センター客員教授併任)
○主な著作
 「根の事典」(1998年 朝倉書店 編集委員会代表)
 「根の発育学」(2000年 東京大学出版会 単著)
 「根のデザイン」(2003年 養賢堂 編著)
○ホームページ
(1)附属農場のもの http:///www.fm.a.u-tokyo.ac.jp
(2)附属農場に移る前のもの http://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/cem/morita/saibai_j.htm
○授業内容
 環境問題というと、工学的な手法を駆使して解決するものという印象があるが、作物栽培の改善や環境修復・環境形成を農学的にどう進めるかという観点も必要である。また、現実的には工学部と農学部との縄張り争いをしているときではなく、社会科学的な視点も含めたシステム論的な取り組みが必要だと考える.ただし、授業でその全体像を提示する力はないので、食糧生産の基礎となる作物栽培をとりまく環境問題への取り組みについて、自分が係っている若干の事例を交えて紹介したいと考えている。話題が散漫になることを避けるために、できるだけ水に係る問題に注目する予定である。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 自分が食べているものが、どこで、どのように作られるか考えてみること
○お薦めの本
 講義関係で手軽に手に入るものとして、
(1)石弘之(1998)地球環境報告U.岩波新書(新赤版)592
(2)高橋 裕「地球の水が危ない」(岩波新書新赤版827)
(3)中村靖彦「ウオータービジネス」(岩波新書新赤版878)
○学生の頃何をしていたか
 学位を取得するための研究とタイを歩くこと
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 アメリカに留学して半乾燥地域におけるコムギ栽培をみたこと / 食糧問題の基盤となる作物栽培をどう改善していくか
○現在環境問題に対して何を行っているか
 いくつかのプロジェクトに参加して現場を見る機会を作ることと作物栽培を根の側から考えること
○趣味・特技
 風呂と昼寝と阪神タイガース
○今の学生へメッセージ
 急がず、休まず、少しずつ 
○自由欄・キーワード等
 食糧生産の基礎は作物栽培であり、作物栽培における重要な栽培管理には、土壌を介して作物の根系に対する働きかけるものが多い。そこで、「根のデザイン」という観点から、(1)理想型根系の解明、(2)根系制御技術の開発、(3)根系の形態と機能のモニタリング、に関する研究を進めていきたいと考えている。




山口 猛央 (Takeo Yamaguchi)先生
○現在の所属
 大学院工学系研究科 化学システム工学専攻
 山口(猛)研究室
○略歴 
生年月日:1966年2月24日生まれ
(1)学歴
期間 学校名
1981年4月-1984年3月 私立海城高等学校
1984年4月-1986年3月 東京大学教養学部理科。類
1986年4月-1988年3月 東京大学工学部化学工学科
1988年4月-1990年3月 東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士課程
1990年4月-1993年3月 東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻博士課程
(2) 職歴
期間 勤務先 職務
1992年4月- 1994年3月 日本学術振興会  特別研究員
1993年4月- 1995年5月 米国コロラド大学化学工学科 博士研究員
1995年7月- 1998年12月 東京大学大学院工学系研究科 助手
1999年1月- 2001年10月 東京大学大学院工学系研究科 講師
2001年10月- 現在 東京大学大学院工学系研究科 助教授
○主な著作 
1) ナノバイオテクノロジーの最前線 (Frontier of Nano-Biotechnology) 、編集/植田充美、「分子認識イオンゲート膜」、山口猛央、CMC出版,p.240-247 (2003)
2) 「携帯機器用燃料電池の実用化」、山口猛央、「直接メタノール燃料電池用細孔フィリング電解質膜」、技術情報協会, p.52-61 (2002)
3) 図説ナノテクノロジーのすべて、(2001)
4) 新しい水処理シリーズ・「膜を利用した新しい水処理」、山口猛央「新し
い水処理用機能性膜の開発と今後の展望」、エヌティーエス、p. 225-260
(2000)
 どれも、専門書ですが。
○ホームページ
 http://www.chemsys.t.u-tokyo.ac.jp/chemsys/labs/takeo/
○授業内容
1. 未来の水素化社会
2. 燃料電池の役割
3. 化学産業と電気・自動車産業の乖離と全体を把握できる人間がいない深刻な問題>
4. 材料のシステム設計の必要性
5. 問題点と未来へのロードマップ
 順番は、学生の方がわかりやすいように、変更するかもしれませんが、内容は水素化社会と分子レベルの燃料電池を結びつけて考える話です。ただし、未来の水素化社会に関して、はっきりしたイメージはまだできていません。これからですので、一緒に議論しましょう。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 特にありませんが、高校までの化学に関する基礎的な知識または単語は、知っておいてください。アノードとかカソードとか、電解質とかプロトンとかいう言葉に、驚かないでください。
○お薦めの本
 「動け!日本」日経BP
 「地球持続の技術」岩波新書 小宮山宏 著
 「地球温暖化問題に答える」UP選書 小宮山宏 著
 同じ学科の小宮山先生から、影響を受けています。今は副学長になってしまいましたが、部屋がすぐそばなのでよく話をします。昨年、環境の世紀で講演されたと思います。
○学生の頃何をしていたか
スポアイ・サッカーパート、丁友会サッカー(副キャプテンだった) サッカーが好きです。オレンジペコというテニスサークル(副代表だったが、テニスは下手だった。妻は、僕が作成した連絡網で、僕が電話をする相手でした)
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 中学生の頃から、エネルギー問題を解決する研究者になりたいと思っていました。ただし、大学に入ってもですが、未来のために具体的に何をするべきなのか、よく分かりませんでした。
 環境問題は二つあります。地域環境と地球環境に分かれると思います。僕は、問題点を明らかにし、それぞれの問題を解決するためのデバイス(燃料電池、膜など)設計をすることを目的としています。どちらの問題も解決できるはずです。また、地球環境問題を温暖化問題だととらえれば、エネルギー問題となります。
 学生時代に、最初に取り組んだのは、水環境、空気環境で、水中または空気中の汚染物質除去を膜分離で行うことでした。地域環境対策に入ると思います。そのための、新しい分離膜の開発です。現在でも、世界的には膜研究者としての方が名前が通っているかもしれません。
 次第に、膜分離から燃料電池用の電解質膜に入り、今では燃料電池全体を設計する立場にいます。知識は深めるとともに、広がります。
 また、高分子物性(熱力学の難しい話ですが)も研究していますし、研究室の半分はバイオシステムから発想した新規なリアクターや生体を真似した膜を開発しています。出口は、医薬・医療灘央、様々に考えられます。
 この二つを結びつけて、バイオ・燃料電池に関する研究も行っています。人間の体の中でも動かせる、燃料電池ですし、バイオマスエネルギーの有効な利用手段になるかもしれません。燃料電池研究に比べれば、まだ、基礎研究ですが。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 燃料電池のシステム設計
 家庭用、自動車用、ポータブルなど、様々に応用される燃料電池を、分子のレベルまで階層的につなげ、それぞれの用途ごとに設計します。当たり前のことですが、世界中で誰も行っていませんし、研究もされていません。各分野が深くなりすぎて、全体が見える人がいないからだと思います。
 さらに、高性能の燃料電池を開発することを目標とするだけでなく、未来の水素化社会の全体設計にまで、このシステム設計をつなげていきたいと、学生達と一緒にがんばっています。
○趣味・特技
 家族との遊び(子供は2才と4才ですが)。研究室の学生と、未来社会について話すこと。
 サッカー。スポーツ観戦。安いワインを飲むこと。パスタ料理。
○今の学生へメッセージ
 未来に夢を持とう。
○自由欄・キーワード等
 内容が、少し、総合科目と重なってしまうところもあると思いますが、勘弁してください。ただ、環境の世紀では、より環境問題に即した、大きなテーマを話したいと思います。また、学生方との話し合いを楽しみにしています。




家田 仁 (Hitoshi Ieda)先生
 
○現在の所属
 東京大学大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 交通・都市基盤計画研究室
○略歴
 昭和53年 東京大学工学部土木工学科卒業・日本国有鉄道入社
 昭和59年 東京大学工学部助手 61年同助教授
 昭和63年 西ドイツ航空研究所交通研究部(客員研究員)に派遣
 平成5年 フィリピン大学交通研究センター(客員教授)に派遣
 平成7年 東京大学教授 現在に至る
○主な著作
 都市再生-交通学からの解答(共編著)学芸出版社
 それは足からはじまった-モビリティの科学(共編著)技報堂出版
 東京のインフラストラクチャー(第2版)(共編著)技報堂出版
 東京の交通問題 技報堂 共著 技報堂出版 
○ホームページ
 http://www.trip.t.u-tokyo.ac.jp/
○授業内容
 環境の視点から見たとき、都市の構造や交通システムの姿やあり方はどうあるべきか?その実現には何が必要か?事例等を挙げながら議論する。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 東京というメガシティがどんな構造をしているか?どんな特徴を持っているか?各自よく考えてきてください。
○お薦めの本
 「鳥と飛行機はどこが違うか?」
 「ゾウの時間、ネズミの時間」、
 ジェイコブス「アメリカ大都市の死と生」
 塩野七生「ローマ人の物語」
 野田知佑「日本の川を旅する」
○学生の頃何をしていたか
 気に入った学問だけは大変よく勉強した。週に文庫1冊と新書1冊は読むことにした。他の時間は登山をするかデートをしていた。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/先生にとって環境問題とは?
 人々の生活や産業を支える社会基盤(インフラストラクチャー)は自然や人と共存協調して初めて持続的に存立するもの。「環境問題」とは私たちの仕事そのものです。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 国内外で私がかかわる交通や都市のプロジェクトは、大なり小なり環境の改善を目的の一つにしています。
○今の学生へメッセージ
 自分の足で地面を歩き、自分の目でものを見ること。幅広くたくさんの本を読むこと。とにかく精力的に活動すること。
○趣味・特技
 登山、岩登り、スキーその他アウトドアが好み。
 現在はリバーカヤッキング(簡単にいうとカヌーによる川くだり)が最大の趣味。年に20回くらいは川を下る。これまでに日本の川を30河川、1800kmを下った。現在3艇を保有。




山下 晋司 (Shinji Yamashita)先生
 
○現在の所属
東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース
○略歴
1948年 山口県に生まれる
1973年 東京大学教養学部卒業
1978年 東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了
○主な著作
 Globalization in Southeast Asia (eds. with Jerry Eades, 2003, BerghahnBooks)
 『バリ─観光人類学のレッスン』(1999,東京大学出版会)
 『植民地主義と文化─人類学のパースペクティヴ』(共編著,1997,新曜社)
 『観光人類学』(編著,1996,新曜社)など。
○ホームページ
 http://bunjin.c.u-tokyo.ac.jp/(東京大学文化人類学研究室)
○授業内容
 グローバル化する環境問題との関連で、エコツーリズムという新しい観光の形態が注目されている。では、その実態はどうなのか。この講義では、マレーシア・サバ州で展開されているエコツーリズムを取り上げ、その問題点を考える。参考文献として、山下晋司2002「エコツーリズムの政治経済学─マレーシア・サバ州のケースから」『科学』72-7:701-705. 岩波書店。
○講義までにしてきておいてほしいこと
 とくにない。
○お薦めの本
 観光人類学について知りたい人のために、上記の私の本。
○学生の頃何をしていたか
 いろいろ。なかでもわたしの人生にとって一番大きかったのは、大学5年(留年し
たので)のとき結婚したこと。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
 観光研究を進めるなかで、マレーシア・サバ州の森林破壊の問題とエコツーリズムに遭遇してから。環境問題はあらゆる意味でボーダレス。「超域的」な発想が必要。
○現在環境問題に対して何を行っているか
 エコツーリズムという切り口からの研究実践。
○趣味・特技
 水泳。
○今の学生へメッセージ
 勉強しよう。
○自由欄・キーワード等
 エコツーリズム。




山下 英俊 (Hidetoshi Yamashita)先生
○現在の所属
 一橋大学大学院経済学研究科
○略歴
1973年 長野市生まれ。
1992年 長野県長野高等学校卒業
東京大学教養学部理科1類に入学
教養学部基礎科学科第2(現在の広域科学科)に進学。
2000年 大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程を中退し、
大学院新領域創成科学研究科環境学専攻の助手に着任。
2004年4月より現職。
○主な著作
1)Yamashita, H. et al., “Circulation indices: new tools for
  analyzing the structure of material cascades”, Resources,
  Conservation and Recycling 28 (2000) pp.85-104.
2)山下英俊他「若い世代にとっての地球環境問題」阿部 寛治編
  『概説地球環境問題』東京大学出版会、1998年、pp. 143-165。
3)山下英俊「環境学者の作り方:T字型モデルからの脱却をめざして」
  『環境と公害』第29巻4号、岩波書店、2000年、pp. 63-66。
4)山下英俊「リサイクルの国際化」日本環境会議/「アジア環境白書」
  編集委員会 編『アジア環境白書2003/04』東洋経済新報社、2003年、
  pp. 374-377。
5)山下英俊「越境するリサイクル」高木保興編著『国際協力学』
  東京大学出版会、近刊。
○ホームページ
 今のところありません。
○授業内容
内容としては、
1)著作の3)の文章をベースにして、問題解決指向の学際的研究としての「環境学」のあり方について論じ、
2)学生の皆さんの協力を得て、今回のテーマ講義を通してみた「環境学」についてまとめて、最後に
3)東大で環境学に取り組む意味について問題提起する
といった話題を予定しています。(順番は変更するかもしれません。時間が足りなければ、一部はゼミの時間に扱うかもしれません。)
 
なお、3点目の題材としては、以下の文章が念頭にあります。
・飯島伸子『環境社会学のすすめ』丸善ライブラリー(1995)の158頁
・西村肇・岡本達明『水俣病の科学』日本評論社(2001)の331頁
・宇井純『公害原論』亜紀書房(1971,1988)の「開講の辞」
○講義までにしてきておいてほしいこと
1)上記「授業内容」記載の文章に目を通しておいてください。
2)今回のテーマ講義の一連の講義をとおして、「環境学」についてどのようにまとめられるか、考えておいてください。
○お薦めの本
上記にあげた本の他には、
・市民エネルギー研究所『2010年日本エネルギー計画』
 ダイヤモンド社(1994) (たぶん絶版)
・清水修二『NIMBYシンドローム考』東京新聞出版局(1999)
・ロデリック・F・ナッシュ『自然の権利:環境倫理の文明史』 ちくま学芸文庫(1999)
○学生の頃何をしていたか
 友人の誘いで新しい環境サークルの立ち上げに参加し、キャンパス・エコロジー活動やこのテーマ講義「環境の世紀」の立ち上げなどを行っていました。また、卒業研究ではでは駒場キャンパスの再開発のアセスメントを題材とした共同研究を行いました。
○環境問題に興味を持ったきっかけ/あなたにとって環境問題とは?
環境問題の解決に関わることを一生の仕事にしようと考えて、大学に入学しました。進振で駒場に残ることを決めたころから、研究者として環境問題に関わるというスタンスで今日に至ります。(詳しくは著作の2)を参照してください。)
○現在環境問題に対して何を行っているか
 現在の主な研究対象は廃棄物・リサイクル政策で、循環型社会の形成に向けて進んでいる日本の廃棄物行政に対する政策提言につながるような研究をすべく努力しています。
○趣味・特技
 趣味は寝ることですが、去年から約10年ぶりに楽器(トロンボーン)を再開しました。
○今の学生へメッセージ
 環境三四郎を応援してください。



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