テーマ講義 環境の世紀XU

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2005年度夏学期開講の「テーマ講義 環境の世紀XU」に関する総合サイトです。

活動紹介

2005年度夏学期、東大教養学部においてテーマ講義「環境の世紀XII」が開講された。環境三四郎のメンバーが運営に協力することで学生の視点を取り入れ、また様々な分野から講師を迎えたオムニバス講義であるという特長を持つ「環境の世紀」において、今年度の運営に参加した環境三四郎メンバーが目指したものは何だったのか。テーマ講義責任者の田中序生さん(理科T類2年、12期)にお話を伺った。 【文責:大部沙絵子(10期)】

構成とコンセプト

 今回のテーマ講義のコンセプトは「私達に何ができるのか」。この問いに対して、直接的に解答を示すのではなく学生に自分の頭で考えてもらうことを重視したという。また講義全体は三部構成となっており、『第一部:環境問題と何か』で環境問題の概要を捉え、『第二部:温暖化へのアプローチ』では多様な分野からの視点を養い、『第三部:様々な立場と取り組み』で、企業(TOYOTA)や行政(環境省)の方をお呼びするなど、より実践的な現場からの話を聞くという形式を取った。  受講生の反応は上々で感想も「狙い通り」と言えるものが多かったというのは、このように構成が熟慮された結果だろう。

環境三四郎による発表

 最終回の講義では『事例研究』、いわゆる『わくわく』として環境三四郎が発表を行った。テーマは「環境問題と報道」。私たちはほとんど報道を通じてしか環境問題を知らないが、ニュースや新聞で騒ぎ立てるだけでなく解決につなげるためには報道の送り手と受け手、それぞれどうすれば良いかを考えた。結論として受け手側として情報の信頼性を疑う視点やデータの出所に関心を持つこと、送り手側として環境報道の専門家を養成することや環境報道の問題を監視する第三者機関を設置することなどを提示したが、本当のねらいはやはり受講生に考えさせること。この点では「伝えたいことは伝えられた」そうだ。学生が授業を行うというのは大変なもので、今回は特に論文など資料が少なくて苦労が多かったが、その分大きな達成感を得られたと感想を聞かせてくれた。

ゼミの工夫

 今年も講義の後にはゼミが行われたが、例年の反省を生かして早めの準備を心掛けた。毎回の講義内容や講師の個性に合わせて座談会・ロールプレイングなどさまざまな形式を用意したが、中でも特徴的だったのはディベート・研究発表といった受講生の事前準備を必要とする形式だ。特にディベートは「環境問題に関する研究は中立的に行うべきである」というテーゼに対して肯定側と否定側に分かれ、放課後や昼休みを利用して事前に集まって下調べ・打ち合わせをしてもらった。大変でもやりがいがあると受講生の満足度は高かったそうだ。受講生同士の交流が深まるという効果もあった。また他にも予習課題を用意したり事前に資料を配布したりと、計画的なゼミの運営が行われた。  ゼミの責任者、小川拓哉さん(理科U類2年、12期)によると「三四郎とそれ以外のメンバーが半々くらいで行われた今回のゼミは今までと違った雰囲気だったと思いました。やはり、時間外の準備とかの中でゼミ生同士の交流を深めることが出来たということが大きかったと思います。機会があれば、またゼミ生で集まって何か出来たらいいなと思っています。」ということだった。

全体を振り返って

 振り返ってみると、多忙な中でもスケジュールの管理を怠らず入念に準備してきたため、全体として順調に進行したようだ。田中さんは、運営側という意識が強く「受講生としての感想は少ない」と苦笑しつつも、「メンバーに支えてもらいました」と感謝を語った。また小川さんは「最終回後の打ち上げにたくさんのメンバーが参加してくれていい雰囲気だったのが印象的でした」と感想を述べてくれた。

今後の見通し

 さて、来年度の「環境の世紀」は異例の休講となった。責任教官の負担が大きい、マンネリ化しているのではないかといった批判を踏まえて少なくとも1年間を話し合いのための期間に充てるとのことだ。さしあたっての改善点として、現在の2年生から1年生へ引き継ぐ方式では毎年の反省が活かされにくいことやタイムスケジュールの厳しさから責任教官と十分に話し合う時間がないことが挙げられる。従来とは異なるテーマ講義を作り上げるためには多くの人から知恵を集めることが必要だということで、最後に田中さんからメッセージをもらった。  「1年休講にするからには絶対満足のいくものを作りたい。環境に関する講義も増え、環境の世紀の存在感が薄れつつあるかのように見える現在、学生が関わる講義としての存在感を存分に発揮できるような斬新な挑戦を行ってみてもいいと思っています。過去に環境の世紀に関わっての意見、アイディア、他の面白い授業の情報などありましたら何でもいいのでお寄せください。」

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