FTP

活動紹介

2006年6月3日、環境三四郎の部室にて、昨年の駒場祭後に開始されたFTP(フェアトレードプロジェクト)について、責任者の小松才恵子さん(文科三類、13期)、山ア潤一さん(文科二類、13期)、1年生の尾形玲美さん(文科三類、14期)、太田祥宏さん(理科一類、14期)に話を伺った。【文責 11期・山内文夫】

FTPの開始・参加の動機とは?

 責任者の小松さんは、元から貧困や開発に興味を持っており、昨年の夏には桐生朋文さん(農学部、10期)の企画でタイへのスタディツアー(詳細は「つながり」vol.10 30-31 参照)にも参加している。そのとき知り合った方からフェアトレード(ただ資金的援助をするのではなく、適正な価格で商品取引を継続することで、途上国の持続的な生活向上をさせることを目指すもので、消費者にとっては、買い物を通してできる身近な国際協力のかたち)について初めて聞いたということだ。また、駒場祭ではスタディツアーのアウトプット企画として、タイについての展示と民芸品の販売をする「たいすき。」という模擬店の責任者もしていた。その際にスタディツアーで扱っていたような「貧困・開発」をテーマとするプロジェクトが通常の活動でもあってもよいのではと思ったそうだ。 こうしてFTPは始まった。当時からのメンバーである山アさんも、開発・貧困について興味が元からあり、FTPが開始されるということで参加したそうだ。山アさんは、「プロジェクトという枠組みの中だけでなく、自分の将来も考えて長いスパンで活動していきたい」と語る。 また、この春からは1年生(14期)も活動に参加し始めている。尾形さんは、「大学入学前に日経ビジネスの記事を読み貿易構造に問題を感じ始め、安いことがいいことではないのではないだろうか?と考え始めていた。」ということだ。そんなときに、高校時代からの友人であった小松さんからフェアトレードの話を聞き、FTPに参加するようになったそうだ。太田さんは、「環境三四郎に入った時、体を使う活動的なプロジェクトと、頭を使う勉強会的なプロジェクトのどちらも参加したい」と考えていたということで、元から開発・貧困・経済に興味を持っていたためFTPに参加したと言う。

現在、FTPでは何をしているのか?

 責任者の小松さんによると、長期的にそれぞれが開発への理解を深めるために、主に「自分たちの興味があることについてのプレゼンテーション・意見交換」を行って、お互いに理解を深めていっているそうだ。これまでに挙がったテーマは、「日本でフェアトレードがマイナーなのは何故か」「企業倫理・消費者倫理とフェアトレード」「フェアトレードは自由貿易に反するのか」「JICAの青年海外協力隊のポスターから見る『援助』のあり方の変遷」などなど。他大でフェアトレードを行っている団体は生協への商品導入などアクティブな活動が多いが、そもそもフェアトレードとは何なのか、貧困は何が原因なのか、という問題意識を忘れないようにしたい、ということだ。ただ、「現地に行く」ということが難しい以上、どうしても『机上の空論』になってしまう恐れもある。そのあたりは、実際にNGOなどでフェアトレードや開発について行動を起こしている人に話を聞きに行くことでフォローできれば、と思っているそうである。 もちろん、FTPでもアクティブな活動は行っている。日本でフェアトレードが非常にマイナーなものであることから、まずは学内でのフェアトレードの知名度を高くするため、環境月間企画のひとつとしてフェアトレード商品を生協で扱ってもらったり、コンコースにおいてフェアトレードの展示・紹介パネルを設置したりするそうだ。五月祭や環境月間のときに配付する環境冊子(読r.ECO)の中でも、フェアトレードについての紹介を載せたということである。 「他のプロジェクトと違って、活動の成果を直に実感できることが少ないのが欠点。プレゼンも、まだ自分なりの問題意識が発見できていない人には負担かもしれない」と、責任者ならではの悩みも小松さんは抱えているようでもあった。 しかし、14期の尾形さんは、「元々は開発や環境問題・国際的なことには興味がなく、貧困や国内のことに興味を持っていたが、FTPの活動を通していろいろ学んだ結果、今では環境問題や国際的なことにも興味を持つようになって視野が広がってよかった」というように、FTPの活動により1年生も徐々に影響を受けてきているのはよいことではないかと思う。

FTPのこれからは?

 責任者の小松さんは、「活動的なプロジェクトが多い三四郎の中で、どちらかというと座学がメインなのはよくも悪くも大きな特徴。もう問題意識が固まっている人はそれについて調べ、自力で解らないことがあったら周りを誘ってヒアリングに行き、ミーティングの場で発表する、というサイクルに乗ってがんがん知識を深めてほしい。まだ問題が見えない人も、他の人のプレゼンを聞く中で色々刺激を受けられればよいと思う。」と語る。また、環境月間が終わった後も生協とのタイアップや、駒場祭企画などを通じて、アクティブな活動の方も充実させていきたいそうだ。駒場祭については、去年の「たいすき。」が「タイについての展示」という面を表に出しすぎており、東南アジアに関心の無い人はあまり呼び込めなかったという反省を生かし、今年はより多くの人に引き寄せられるようなものにしたいと考えているそうだ。また、「フェアトレードを始め、NGOやNPOの活動はアカデミックな場にはなかなか上がってこないもの。実際に活動している人を招いて、それらの活動を体系的に捉えられるようなゼミを作ったら面白いのではないか」という野望も持っているそうで、これからのFTPの活動も期待できそうである。 尾形さんは「まだまだ知識が足りないから、もっとがんばって勉強していきたい」と話してくれた。今はまだ、どこに問題点があるのかが自分ではわからなかったりするそうで、経済についてなどさまざまな分野の知識を吸収し、ミーティングでももっと発言できるようになりたいということである。太田さんは「環境三四郎の中の勉強会で知識を得て、さらには他の団体との交流を通していろいろ知っていきたい」ということだ。

 今回は、活動が始まってから約半年のFTPのインタビューをしたが、まだ始まったばかりで模索中の部分も多いようである。しかし、自分たちの興味のあることのプレゼンも行われ、今は環境月間を目標に活動できており、今後は駒場祭に向けて活動していく予定という話を聞き、順調に動きだしているという感じを受けた。また、1年生もミーティングに慣れてきたころでもあり、二人とも「もっと勉強して知識を得たい」という言葉が聞けたことからも、楽しんでFTPの活動に参加できているのだろうと思う。新しく入った1年生の成長や、これからの活動にも期待していきたいものである。楽しそうに活動しているので、一度ミーティングを訪れてみたり、FTPのメンバーに話を聞いてみたりしてはいかがだろうか。

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