第7回講義内容

6月14日

「漁村の生活と環境問題」

教 官: 岸野 洋久
所 属: 東京大学大学院 総合文化研究科国際社会科学専攻
配布物: なし

講義内容

<目次>

  • 講義内容(本講義)

    <講義内容>

    1.クジラの生態

    捕鯨計画のデータをつくるにあたって
    どのくらい、いるか?が重要になってくる
    →船上から2時間にどれだけ見えるかでデータ
    南極大陸
    クジラ
    赤道海域 ― 南極海
     繁殖    成長
    breeding  feeding(オキアミを食べる)
    南極海に戻ってくる時点で調査
    南極海で調査 ぎりぎりの所まで大陸に近づく

    調査船の動き方
     以前経度方向直進と緯度方向直進を組み合わせた階段状の動き
    しかし、それでは、2度目の調査で、
    緯度方向直進の部分は、1度目と違うところを通るが、
    経度方向直進の部分は、2度目と同じ所を通ってしまい、
    場所によって、当たる確率が変わってきてしまう
     現在ジグザグ上に動くことで、どの部分も同じ確率で当たるようにした

    資源量  N^=nA/(2wL)
    n:=発見数、w:船からの垂直距離、L:航行距離

    →クジラの生息数 生息数のデータ
    但し全数調査ではないので、95%信頼区間を使う
    (会議では、この区間最小値を使用)

    系群ごとに生息地を知る必要
    系群構造を知る必要 しかし、海には境界がないので知るのは難しい

    捕獲調査
    緯度、経度によって、雌雄比、成熟度が違う
    (高緯度ほど、雌が多く、成熟度が上がる)
    →大人の雌が南極大陸まで来ていることが分かった……breedingのため

    日本近海

    クジラを遺伝子で分類 1型と2型

    東シナ海では1型:2型=8:2くらい
    太平洋では1型:2型=3:7くらい
    日本近海、通年では1型:2型=4:6くらい
    同じ海域でも、1型と2型の混ざり具合が季節変動している
    →東シナ海からの系群と太平洋からの系群が、回遊の過程で、
     その場所を別々の季節に回遊していることが分かる

    科学小委員会でさえもpoliticalになってきている
    「第3者的立場だと、生活に関わらないので
     どうしても歯の浮いたような抽象論になってしまう」

    国内でも、漁業は決して明るくない
    1年ごとの統計でも、漁業人口は、着実に減ってきている

    2.漁村の生活(漁協)と環境問題

    漁家の生活を見て、管理方式を考えていきたい
    漁協に出かけてみた
    (10県のうち、その県の全体像がつかめるような37組合→優良漁協が多い)
    (全国で、2,000組合程度の漁協がある)
    漁協の収入……ほとんどが、セリにかける手数料(魚の値段の5〜10%)
    ゆえに、漁協職員数は、組合員数の5〜10%でないといけない
    (農協と違う点)
    (漁協職員と組合員は運命共同体)
    大体、1漁協あたり150人程度しか組合員はいない
    漁協組合員(漁家)は、自分の漁協・漁協職員に対して強い不満
    (漁家は、自営業、晴れたらいつでも漁に出て行かないと厳しい)
    (一方、職員はサラリーマン、定休を作ろうと提案することも)
    両者では、生活スタイルが異なってくる

    遊子漁協(ゆす、愛媛県)の例
    鰯を獲っている 数で稼ぐ漁業
    戦後、船の大型化 → よく獲れた
    昭和30年半ば、激減 乱獲が原因か?
    → 実は運命的なものだった
    過去から、鰯の量は30年周期程度で、増減している
    (鱗から、年齢別資源量を産出して得られた知見)
    → 政府からの借金を返せず、倒産(昭和35年)
    昭和38年頃 真珠の養殖を始める(始めは4人、そのうちの1人は、現在の組合長)
    昭和40年頃 ハマチの養殖も始める
    ともに大成功、また、鰯がダメだったこともあり、他の漁家もこちらに流れてきた
    真珠の養殖は、1回、密殖からメタンガスが発生し、母貝(アコヤガイ)が全滅
    → 1年間収入無しに
    そこで、湾を仕切って、それぞれの家庭に区画を割り当て、投入する資源量を決めた
    計画性
    平等性重視、しかも家計簿も提出させた しかし漁家からの不満はなし

    同時に、主婦の間で、石鹸運動(石鹸を買わないようにしようという運動)が起こる
    石鹸で、湾が汚染され、魚がダメになってしまうから
    皆がまとまりを持っている証拠

    漁業人口30万人の声は届かない 環境に一番接している一次産業なのに
    しかし、これからは届くようになるだろう(後述)
    環境問題を肌で感じている 掟を破ったら1年間収入なし
    私達には、それがない

    環境問題 私達は加害者になっていることは十分ある
     その時、身になって(肌で感じる立場になって)考える必要がある

    3.質疑応答

    まだ、できていません。しばらくお待ち下さい。

    <事後勉強会>

    質疑応答