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藤前干潟や諫早湾の埋めたてなど、大規模な開発の是非が社会的問題になっていることは、ご存知のことと思います。ここでは開発によって得られる利益と、その代償として開発が環境へもたらす影響の大きさをどのように評価し、判断するかが論争の中心となりました。今年6月に施行された環境影響評価法により、環境に影響を及ぼす行為について、その実施前に、事業者自らがその環境影響を調査・予測・評価する事を通じて環境保全対策を検討するための仕組みが整えられました。これは環境悪化を未然に防止し、持続可能な社会を構築するための一歩であると位置付けられています。
しかし、環境への影響を評価すると言っても、具体的には何をどのように調査したらいいのでしょうか?
環境問題は科学的に見るときわめて多岐の科学や技術の分野にまたがっています。また同じ分野の学問内においても、学派の違いや学問的な論争が見られ、意見の相違があることが少なくなくありません。その不確実性のある分析結果をもとに、様々な価値観の対立、利害の対立を社会的に解決しなければなりません。よって持続可能な開発が行われるには様々な情報、不確実性を意思決定者がどのように扱うかが非常に重要になると考えられます。
私は現在、今年開発が断念された藤前干潟の埋め立てなどをケースに取り上げ、開発側・開発反対側が行った科学的調査の視点・手法の違いを比較し、立場の違いが科学的調査にどのような影響を与えたか、また、それぞれの情報がどのように意思決定に影響を与えたかについて分析を試みています。これにより、開発側が行うアセスメントで見落とされがちな視点、意思決定の際に重視される情報の特徴を明らかにすることができれば、持続可能な開発を実現するためのアセスメントのあり方に重要な情報になると考えています。