里山プロジェクト

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活動紹介

環境三四郎・本郷部門(主に三年生以上)の新たな活動として、2000年11月から「里山プロジェクト」が始まっている。

里山とは、農家などの手によって維持管理されてきた山林や田畑のことで、貴重な生態系の宝庫であることが分かっている。ところが近年、里山は宅地開発の対象となりその数を減らし、田畑が放棄され荒地と化し、元来の生態系が失われつつある。

我々は東京都あきる野市にある「横沢入」という里山をフィールドに選び、三年生以上ならではの多種多様な専門分野を生かして、市に提出する都市計画(マスタープラン)作りに少しでも貢献したいと活動している。同時に、理想的な自然と人間との関わり合い、都市と農村との関わり合いなども考えていければと思っている


里山と湿地の織りなす豊かな生態系が残るあきる野市・横沢地区。東京都でも有数の里山として認められているこの横沢入り地区をフィールドに、本郷部門の活動の長期的なプロジェクトとして里山プロジェクトは2001年1月にスタートした。

「里山」とは

人がそこで田圃や畑、林業を営み生活していたことによってできあがった、様々な段階の遷移が同時に存在する、特別な生態系のある場所である。ところが、現在ではそこで田んぼを営むと逆に赤字がでたり、作業も大変であったりするため、後継者もいなくなり、そして田んぼは放棄され、荒れ地になる。生態系は変化し、それまで住んでいた生き物が住めなくなる。また、開発の矢面に立たされ、宅地になる里山も多い。こうして里山は、全国で急激になくなっているのだ。

里山保全方法を模索する

かつては田んぼが営まれていた横沢入り地区は、JR東日本による大規模な住宅開発計画が予定されていたが、複数の自然保護団体などが独自に保全活動を行ってきた。昨年9月の計画中止を受けて、共同で「横沢入里山管理市民協議会」を作り、あきる野市やJRと各団体の考え方の違いをできる限り埋め、あきる野市やJRとの調整をはじめ、保全方法のルール化を目指している。

インタビュー、調査を経て里山利用計画へ提言

広く里山、そして都市と農村の関係などについて学んでいくために、これまで、プレ調査としてあきる野市都市計画課の山係長、地元住民で土地利用転換協議会会長の吉野さん、市民団体の西多摩自然フォーラム代表・久保田さんの3人にインタビューを行い、横沢入り地区の江戸以来の里山としての歴史から、JRによる開発計画の経緯、それぞれの横沢入りについての考えなど、ヒアリングを行った。

里山をうまく維持管理計画する方法について一般的な解は得られておらず、あきる野市やJRも横沢入りのありかたを模索している。このため、農学部3年の浦久保雄平さんは「今後、継続して横沢入りについて調査するともに、保全のあり方について提言できれば」と話している。最終的には利用計画の策定に関与することを念頭におきつつも、中期的な目標としてのシンポジウム、冊子等の作成を目標としているのだ。

体験、里山

新歓イベントとしても横沢入りを訪れ、1年生から院生まで20人を超えるメンバーが参加した。「ムササビの会」の田中さんらに横沢入りを案内していただき、都市の日常では得られない体験をして、1年理2の岡田絵里子さんは「実際に目にすることで初めてわかることもありました」という。机の上だけではなく、実際の現場に足を運びつつ考えていくことになるのも里山プロジェクトの特徴なのである。

最後に

里山の過去・現在・未来を学ぶことを通して、現在日本の抱えている問題やその理由、解決などについても考えさせられるともに、現場の大切さや楽しさも体験できる。本郷部門であるため緩やかなペースではあるが、多くの要素が盛り込まれ、現地の市民団体との交流もあるなど、今後も目が離せないプロジェクトだ。

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