自然プロジェクト

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活動紹介

 水プロジェクトの発展的解消を受けてスタートした自プロ。新しいプロジェクトとして始まった昨年の経験を踏まえて今年はどのようにプロジェクトが展開していくのだろうか。責任者の守谷修さんやメンバーの青木えりさん(13期)にお話を伺った。【文責:松本暁義(9期)】

自プロとは

 「自プロ」と聞いただけでは何のことか分かりづらいが、これは自然プロジェクトの略称である。自然プロジェクトは、ビオトープ案を作り終えた水プロジェクトをさらに広げていく形で始まったものである。水プロジェクトが水に関わる問題を中心に扱っていたのに対し、自然プロジェクトの趣旨は、水だけでなく水を含めた様々な自然を外に見に行こうとするものだ。 自プロは、12期のメンバーが1年生の時に始めたものであるが、現在は13期のメンバーが引き継いで活動を続けている。今年度の活動としては、4月に新歓を兼ねて高尾山登山が行われた。これは、新入生を迎えたことや13期からも新メンバーが加わったこともあり、学習というよりまずは自然に親しむという色合いが強かったようであるが、現在はミーティングを重ね、訪問候補地も多く上がっており、次の企画としては東京湾の埋立地へ行く予定になっているという。

これまでの経験から得たこと

 昨年は所沢のゴミ山、青梅の森林、新宿中央公園等のビオトープ、多摩川や谷津干潟等の様々な場所を訪問したが、これらの場所へ足を運び、生の自然を見てくることでメンバーが得るものは大きかったようだ。 例えば、所沢のゴミ山を訪問した際に、廃棄物が積み重なって山をなしており、そこには植物が生えてきてはいるものの動物の声は聞こえないという、あたかも「沈黙の春」を思わせるような光景が広がっていた。自然の中に突然ゴミ山が存在しているという光景に違和感があり、メンバーの印象に残ったということであった。ただ聞いたことのあるという状態から一歩進み、自分の目で実際に見ることでその問題についてよく考えさせられることになった。また、所沢のゴミ山に限らず、訪問先で出会った方に直接お話を聞くことで、問題に関わる人々の考えを知ることができ、勉強になったようである。 これらの経験から、自プロのメンバーは様々な場所へ足を運び、自分の目でみて体験することの重要性を改めて感じとったようだ。様々な問題について知識として知ってはいても、話に聞いているだけでは分からないこと、感じとれないことがあるが、自プロを通じて自分達の実体験としての情報を得ることで、具体的なイメージを持って問題関心を深めていくことができる。「百聞は一見に如かず」というが、自プロはまさにこれを体現するプロジェクトであると言えよう。

自プロの展開方向と今後の課題

 上述したように、昨年の経験からフィールドへ出て行くことの重要性を感じることができたようだが、同時に課題が残っていた。それは、実際に体験するだけで終わるのではなく、次の展開にどうつなげるかということである。  ここで重要となってくるのが「発信」である。具体的には、昨年の報告書をウェブ上にアップして情報発信を行うことを考えているとのことだ。(2005年自然プロジェクト活動報告 参照)その他、堆肥化プロジェクトと共同で小学校で授業を行ったり、一二郎池でビオトープ関連の動きがあった時に対応したりといったことを考えているそうだ。これらはまだ計画段階で実際の動きにつながるかどうかは未定の状況だが、是非とも自プロの次のステップとしての活動につなげていってほしいところである。 これまでの自プロで体験してきたことが言わばインプットであるならば、こうした活動はアウトプットに当たる。インプットだけでなく、情報発信を通じてアウトプットをいかに強化していくかが大きな課題となっていると言える。 また、訪問した場所に関する問題についての調査が不十分なことも課題である。これは、堆肥化プロジェクトとミーティングの開催曜日が重なっており、隔週で開かれているという点が大きく影響しているとのことだが、フィールドに行くことで得られた事実や関心をさらに深めるためにも重要である。先ほど述べたようにアウトプットを充実させて行くためにもこの点は強化していく必要があるだろう。 その他の課題としては、参加者をより多く募ることが挙げられる。実際に見学に行く際には、他のプロジェクトのメンバーにも呼びかけたり参加しやすい体制を作っているが、まだまだ参加メンバーが固定されているのが現状である。より多くの人に現場を体験する機会を得てもらえるように、参加者をいかに増やしていくかが課題となっている。  こうした課題はあるものの、昨年の経験と反省は今年のメンバーに引き継がれており、しっかりとした問題意識を持って活動に取り組んでいるようである。前回のつながりの取材では、昨年のメンバーによって「これからの自プロに必要なのは、情報の発信です」との指摘がなされていたが、この点も十分に認識されているようだ。これらの反省をきちんと生かしていけるよう、今後の活動に期待したい。

自プロの意義

 自プロの大きなポイントは、まず外に出て行って見るという点である。環境三四郎で行っている活動は、ミーティングが多く、議論を十分に(時に十分すぎるほど)重ねてから実際に動いていくという傾向にあるが、これに対し自プロではまず外に出て行って色々なことを自分の目で見て体験してから考えるというコンセプトを掲げている。学習してから行動するのではなく、行動してから学習してみることで見えてくるものがある。この点で、自プロは従来とは違った角度から異なるやり方で問題に取り組もうとするプロジェクトである。こうした動きが環境三四郎の内部の動きから生まれてきたことは非常に興味深く、自プロは環境三四郎の組織としてのしなやかさを表すプロジェクトであるとも言えるだろう。展開方向によっては環境三四郎という組織にとっても重要な意義を持つ活動になり得る。今後の展開に大注目のプロジェクトである。

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