イントロダクション−昨年よくあった疑問から
									 早速ですが、みなさんにいくつか問い掛けたいと思います。 
									
										-  環境問題とは何なのでしょうか?
										
 -  今、何のために環境問題をやっているのでしょうか?
 
										   自然のため、地球のためですか? 
										   それとも人間のため、環境問題に取り組むのは、私たちのエゴなのでしょうか。
										 - 解決のために私たちは何ができるのでしょうか?
 
										   そもそも環境問題など、解決不可能なのではないでしょうか。
									  
									 初めに強調しておきたいのは、この講義を受けても、聴いているだけでは、おそらく答えは与えられない、ということです。 
										 答えは与えられるものではなく、各自で考え作り出していくものだと考えるからです。
 
  
										 私たちがこのテーマ講義「環境の世紀VIII」を通して持っているコンセプトは2つあります。 
									
  
									学生としての提案
									 私からは、これまで環境問題について考えてきた中から、学生の一人として一つの捕らえ方を提案したいと思います。 
									何のために今、環境問題に取り組むのか?
									 「何のために今、環境問題に取り組むのか?」を考えるとき、頭に入れておきたいのは、環境問題はただ単に「自然対人間」の問題ではない、という考え方です。人間の手が加わることで活かされている自然の形は、湿地や里山など、その例は少なくありません。そのあり方が善いか悪いかなどは別にしても、人間が自然に手を加えることが昔から環境破壊につながっていたわけではないでしょう。「自然」と「人間」との「対立」としてではなく、「自然」と「人間」の「共存」などと捕らえる視点もあわせ持っていると、より広い・発展したものの見方ができるでしょう。 
									
  
									環境問題解決のためには
									 環境問題を解決する際の意思決定方法としては、トップダウン型とボトムアップ型に分けられるのではないでしょうか。
 
  
										 ここでいうトップダウンとは、ある程度強制的に法律や政策・規律などを個人・少人数で決定し、指示をだしていくこと、と定義して使っています。 
										 具体的なアプローチとして、環境政策を経済のベクトルに合わせること、つまり、個々の利益のためにやることが、社会全体の環境負荷を減らす方向へ進む経済政策をとることなど、があげられます。
  
										 ボトムアップとは、各個人の意思で、おおくの人が行うことにより、何らかの効果が表れることです。 
										 具体的なアプローチ方法としては、環境を考慮した商品を積極的に購入することで、それら「エコ商品」の値が下がったり、企業も「エコ商品」をすすんで開発するようになったりすることなどがあげられるでしょう。
  
										 これらの方法は2つ合わさって初めて実用的に効用をもたらすものになると考えます。なぜなら、政治家が環境政策を提言する背景には、世論が大きな影響をもたらしますし、「多くの人がやれば」確実に環境負荷を減らせる活動に個人個人で取り組んでいても、「多くの人に及ばなければ」、結局効果が見られない。だから自分がやっても無駄・・・というように、個人のやる気がそがれてしまいがちです。法律や制度で活動を定着させていくことが必要となります。 
									
  
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