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松本

挨拶

 初めまして。先程丸山先生よりご紹介いただいた環境三四郎というサークルの、文科3類2年の松本と申します。この講義の運営に関して、丸山先生・後藤先生のお手伝いをさせていただいております。開講に先駆けて、この講義について説明致します。



生きた社会問題

 今この瞬間にも、環境破壊は先進国、発展途上国を問わず世界中で進んでいます。 温暖化、砂漠化、酸性雨、オゾンホール…… これらの問題はすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。 しかし、ともすれば環境問題を自分とはあまり関係のない、遠いもののように感じてしまいがちです。 これらの問題は、現実に起こっている、生きた社会問題なのです。 今年は地球環境サミット開催や京都議定書の発効など、重要な取り組みがなされる年です。 今までも解決に向けて様々な取り組みがなされてきましたし、 これからもなされていくことは間違いありません。 では、いずれ環境問題は解決し、明るい未来がやってくるのかというと 簡単にそうとは言い切れません。 なぜなのでしょうか? その理由として今回の講義で提示されるのが「トレードオフ」という概念であり、 このテーマ講義「環境の世紀IX〜警鐘の時代から実践の時代へ〜」を貫く鍵となるものです。



トレードオフ

 「トレードオフ」とは、簡単に言うと「あっちを立てればこっちが立たず」ということです。 ある面においてプラスとなることをしようとすると、 別の様々な面において悪影響が現れてくる、 そのような関係を表しています。 環境は確かに大切ですが、私達には他にも大切にしなければならないものがあります。 例えば、発展途上国において経済発展が必要なことは明白でしょう。 環境破壊を止めるために、経済発展の抑制もかまわないという姿勢は、 一部の人々のエゴに過ぎず、全ての人々の同意が得られるわけではありません。



冷静な目

 人間が何か行動する際には、 意図していないことに関しても影響を及ぼしてしまうことがあります。 環境によいと思ってやることが、逆に環境に負荷をかけてしまうこともあります。 「トレードオフ」は、現実社会のあらゆる場面に存在しているのです。 これからの社会を担っていく私達には、 自分の行動が直接与える影響のみでなく、 背後で及ぼす影響についても意識できる、冷静な目を持つことが必要だと思います。



バランス感覚

 現実社会では、様々な人が様々な事を主張しています。 誰かの主張を100%受け入れることは簡単です。 ですが、それでは全ての人が満足するわけではありません。 様々な主体の間の調和を図るバランス感覚を持って、合意を形成し、その合意のもとで それぞれがそれぞれのなすべきことを理解していくことが問題解決の第一歩となるでしょう。



「警鐘」から「実践」へ

 「環境問題が大変だ」「環境問題を解決しなければならない」 世論が盛んに警鐘を鳴らしてる中、 この「環境の世紀」は今年で9年目を迎えました。 開講当初は、周囲に環境問題を取り扱う講義はほとんどありませんでしたが 今ではシラバスに所狭しと並んでいます。 自分は何を考えるべきか、何ができるのか、何をしなければならないのか、 以上を一人一人が具体的にイメージできるようになること、 これがこの講義の狙いであり、オリジナリティーであり、魅力です。 現実の状況の中で具体的に何をなしていくか、 「警鐘」にとどまらず「実践」まで考えていければ、と思っています。



まとめ

 以上、重要な点をまとめますと

トレードオフによる影響を常に意識できる冷静な目と、

トレードオフを調和し、合意形成を行うためのバランス感覚を持ち、

トレードオフを乗り越え、解決に向けて具体的に実践していくこと、

 これらが問題解決のために必要であり、これらを可能にするのがテーマ講義「環境の世紀IX〜警鐘の時代から実践の時代へ〜」です。

 以上のコンセプトに基づき、私達環境三四郎は、 共に学び、共に考えることで、 学生の立場からこの講義をよりよいものにしていきたいと考えています。 学生が運営に関わっていますので、受講生の皆さんの声をより反映させやすいと思います。 感想、意見、疑問などありましたらどしどしお寄せください。

 「環境の世紀IX」には、大学の教官を中心として ジャーナリスト、環境省の方を含めた12人の講師の方々に出講していただきます。 最終回では、それまでの出講者によるパネルディスカッションを行う予定です。 更に、この講義の応用、実践の場として6限にゼミが開講されています。 是非ご参加ください。 また、この講義をよりよいものにするために、 ホームページの開設、メールマガジンの発行を行っています。 先ほど申し上げました、授業への感想、意見、疑問などは、こちらをご活用ください。 以上のことに関して、詳しくはお手もとの冊子をご参照ください。

 それでは、第一回の鷲谷先生の講義をお聴きください。 講義題目は「生物多様性3つの危機と『国家戦略』」です。 鷲谷先生、宜しくお願いします。



「開講にあたって」
「生物多様性3つの危機と『国家戦略』」
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