環境の世紀X  [HOME] > [講義録] > ゼミ第3回

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環境の世紀X ゼミ第三回目

質疑応答

○洗剤に関して洗剤の使用量を減らすことは環境によいのか。

「環境に関してはよいと思います。洗剤の値段は安すぎる。もっと高くして少量で
ももうかるシステムにしていかないと、環境に配慮できない。原料などを考えると
安すぎる。」

○「状況に応じて適切に使い分けることが必要」とレジュメにあるが、どのように
使い分ければよいのか。

「まず、日本全体で石鹸を使うのは、油脂を大量に使うから間違いだろう。石鹸の
メリットは魚介類にいいことだから、小川とかに直接家庭排水が流れるようなところ
では石鹸使うのがいい。対して、下水処理場が整っているところであれば、合成洗剤
使っても問題ない。経済的な打撃などをかんがえると急激にせっけんと洗剤の割合を
かえてはまずい。せっけん悪いですよという風潮になれば、僕はすぐせっけん派にな
る。とりあえず今のバランスを保って、石鹸ほしいというときに手に入らない状況に
していけない。」

ディスカッション

講義の感想


グループ1
○企業の情報は営利目的な物が多い。
→どのように情報を取捨選択すればよいか。
・現在企業の出す情報あまりにも多い。→発信側の態度重要。
・発信側も悪い情報も隠さず発信することにより消費者の信頼を得ようとするこ
とが増えてきている
・消費者団体は、自ら情報を集める余裕のない一般消費者の代わりに情報を集め
て一面的な情報しか出さない企業に対抗していく必要。
○消費者は、環境に配慮した製品を買うことで環境配慮企業をサポート


グループ2
○石鹸と合成洗剤について
・レジュメの定量的データではどっちがいいかわからない。
→場合、場所によって変わるもの。
たとえば、「琵琶湖などでは有機物の汚濁激しい。
→せっけんはあまり使わないほうがよい。」など。
・汚染物質は、一定の割合を超えると害が急激に大きくなる。→バランスが大事。
○生活環境と地球環境について
・日本人は自分のことしか考えていないというのが講義の最後にあったが、これ
はある程度仕方のないこと。
・途上国では生存第一、経済的にも苦しい。→仕方ないのではないか。
○情報について
・発信側は正確な情報出す必要性。
・受信側は情報の正確さを全員が個人個人で確認するのは困難。だが、情報を鵜
呑みにしないで考えなくてはならない。それをしないで被害を受けても責任は自分に
ある。
○個人の自由は尊重されなければならない。環境にやさしいといわれているもの
が本当に環境にやさしいとは限らない。だから個人の自由をおさえつけて押し付けて
はならない。


大矢先生コメント
「情報の発信の機会の増加、情報判断の方法など、『情報』が両グループの共通点と してある。現在は情報化の途上段階だが、情報化に対するわれわれの体制は整ってい ない。学校教育でも、ものを覚えることばかりで、情報化に備えて、情報を身の回り に整理してすぐに使えるようにする方法は教えられていない。情報化がすすんで情報 化に対応するシステムができた、じゃあ次は環境情報に対する体制を整備しましょう 、とのんびりやっている余裕はない。情報化への対応と平行して環境情報にも対 応しなければならないということで、環境情報学というのを考えている。環境に 関する情報はいろいろある。その中で全体をどういう風に整理して行くのかというこ とを考えなければならないと思っている。」


グループ3
○誤りの情報を正しいと思い込むというのはどこからくるか。
・経済的政治的圧力。
・画一的な教育により身についた、受動的に情報を受け取る姿勢。
○どのようにして正しい情報を見極めるか。
・わかりやすく正確なメディアを求める。
・何が正しいのか多方面から能動的に考える姿勢を身につける教育。


グループ4
○家庭科などで得た合成洗剤がよくないという情報がじつはそうではないという
ことにショックを受けた。→正しい情報を判断することが必要。
○洗剤を使わない洗濯機に対する洗剤業者の反発からわかるように、環境配慮を
うたっている企業であっても、利益が第一で環境は二の次になっている。→利潤を追
い求めながらいいものを売っていく姿勢が重要。
○どういう商品を買えばよいか。
・「買ってはいけない」は過激さを割り引けば有用。
・表示を見て余計な物質が少ないものを選ぶ。
・安すぎるもの(いい加減に作られているかもしれない)は買わない。


大矢先生コメント
「『信じていたことが間違っていてショックを受けた』という意見があった。環境問 題が生まれる前は単純だった。これはまる、これはばつ。それでよかった。せっけん がいいならば、せっけんに決めましょう、でよかった。だが、地球環境問題がでてき て問題が複雑になった。信じていたことが実は悪かったということがよくある時代に なった。正しいと信じていたことが新しい情報がでてきて逆だった、というのに備え なければならなくなり、その場その場に応じて意見をかえることが正しい時代に なった。一見ポリシーがないように見えるが、複雑な問題に対応するためにはそうい う姿勢への転換も必要なのではないか、そういう考え方も知っていただきたい。」

純せっけん分99%無添加を謳う広告について
(この広告は今回の講義に合わせて批判的に見る題材として選んだだけであって、
この広告や広告にある商品を批判する意図はありません。)


グループ1
・広告の第一印象としては買いたい人が多い。→広告戦略としてはうまい。
・「環境にやさしい」とあるが、「環境にやさしい」は抽象的なイメージで広告
だけでは本当にやさしいかどうかわからない。
・ケン化法など専門用語を使って、もっともらしくしている。
・ただ、値段が高いということを理由に買わないでいると価格はどんどん安くな
りますます環境を考えない商品が増える。


グループ2
・99%という数字が出ても比較対象がない。あっても数字が多ければよいとは
限らない。
・「はちみつ」、「葉緑素」、「昔ながら」、「無添加」、という表現だけでは
具体的にどういいのかわからない。
・純せっけん99%で、はちみつ、葉緑素も含まれている?
・「これこれなのでこれこれ」、という表現は論理的になっていない。
・広告の文句を疑ってみる姿勢が重要。


グループ3
・広告の印象は大半のひとが批判的であった。
・ケン化法など消費者が知らない言葉を使ってイメージアップを図っている。
・長所だけ書いていて短所は隠されており信用できない。
・短所まで書いてある製品を消費者が買うようにすれば、企業の意識も変わり、
短所も含めた情報を出すのではないか。
・天然素材を100%生かしたからといってよい製品になるのか?
・情報を鵜呑みにしないで冷静に見ることが必要なのではないか。


グループ4
・広告の「はちみつ」「葉緑素」「昔ながら」などという言葉を使っているが具
体的にどういいのかわからない。
・確かに情報を吟味するのは大切だが、それを実行するのは難しい。
・広告がデータでなくイメージに偏るのは仕方ないのではないか。


大矢先生
「せっけんは化粧品の一部ですが、化粧品は感覚で売っている。『赤ちゃんからお年 寄りまで安心』『99%』あたりはいいと思うんです。ただ『環境にやさしい』と いう表現はどうか。わたしたちは、洗剤メーカーにはちゃんと科学的に研究して数 値を出してその科学性で勝負してくださいといっているのに、なんとなく環境にいい ですよ、で流されては困る。わざわざ研究費つぎ込んで一生懸命やっているほかの企 業は報われない。ケン化法に対して中和法というのがあるが中和法は一度に大量に作 る方法。ケン化法はぐつぐつ煮込んでじっくりやる方法で丁寧ではあるがエネルギー を大量に使う。それを環境にやさしいとやられてしまうと、ちょっと待ってくれとい う感じがする。」
講義(大矢勝)
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