ⅳ．多自然型工法の具体例
(a)石積み
平面的で単調なコンクリートの護岸に対し、自然石を積んだだけの岸でも、石と石の間に隙間ができ、そこに小魚や昆虫などの小動物が生息する空間ができる。
(b)柳枝工
文字通りヤナギの枝を使った工法。ヤナギの枝を組んだものを岸辺に敷設し、その上から栗石（10～15cm位の石）や土砂を敷くもの。ヤナギの枝は成長し、互いに強固に絡み合って岸辺の土砂を支える。
(c)水制
川底や川岸からせり出して、川の流れを抑える構造物。石積みや巨石を置いて作る。川の流れに緩急ができて、瀬（水深が浅く流れの速いところ）と淵（水深が深く流れの遅いところ）の差が生まれる。
従来の工法では単調化された河川のそこは浅く、平坦なため、容易に水温が上昇し、酸素不足となり、生物には過酷な環境である。単調な底面には土砂が堆積し、藻類などの植物が繁茂することができず、それらを餌にする生物も住めなくなり、生態ピラミッドが底辺から崩れている。しかし、水制により流れの緩急ができると、瀬では土砂が洗われ、礫が露出するので、藻類が付着できるようになる。
(d)木工沈床
井桁に組んだ木材を石に詰めたものを、川に沈めて護岸を補強する技術。洪水時に川底や川岸が受けるダメージを軽減させる働きがある。
多自然型工法（近自然工法）について
ⅰ．多自然型工法（近自然工法）とは
ⅱ．多自然型工法の役割
ⅲ．多自然型工法のポイント
ⅳ．多自然型工法の具体例