講義日程・講師紹介
CONTENTS

回数講師(敬称略)講義タイトル
第一部 : 環境問題とは何か
第1回4月8日住明正地球環境問題とは何か
第2回4月15日渡辺正つくられた危機
第3回4月22日井上真環境問題へのハイブリッド・アプローチ
第4回5月6日廣野喜幸環境倫理の地平−環境保全の倫理的根拠とは何か
第二部 : 温暖化へのアプローチ
第5回5月13日小宮山宏地球持続の技術
第6回5月20日川島博之緑の国際戦略
第7回6月3日藤井康正エネルギー環境モデルを用いた地球温暖化対策の統合評価
第三部 : 様々な立場と取り組み
第8回6月10日滝口博明(環境省) 地球温暖化問題を考える(国際交渉の現実と課題)
第9回6月17日滝沢智アジアの貧困と水問題について
第10回6月24日今村俊一(TOYOTA)トヨタのグローバル環境戦略
第11回7月1日鳥越皓之生活という立場からの環境問題
第12回7月8日松野泰也循環型社会を考える―ライフサイクルアセスメント(LCA)―
第13回7月15日後藤則行事例研究
毎週金曜日5限に開講します。6限開講のゼミの日程はこちらから
講師名をクリックすると講師紹介をご覧いただけます。



講師紹介

________________________________________

住 明正 先生
________________________________________

○現在の所属
気候システム研究センター

○研究内容
気候システムモデリングの研究、及び、地球温暖化問題

○略歴
東京大学理学部、同大学院修士課程終了
その後、気象庁入庁
後、東京大学理学部、気候システム研究センター

○著作
岩波講座 地球惑星科学 など

○講義内容
気候力学など

○お勧めの本
石川啄木の「ローマ字日記」
高橋和已の「邪宗門」 

○学生のころ何をしていたか
やむを得ず、学生運動に巻き込まれていました。

○環境問題に興味をもったきっかけ
温暖化の議論から。

○趣味・特技
さしてなし。

○10年後の私
生きているか、不明。

○先生が自慢できること
運に恵まれたと思います。基本的に、反権力的な気質なので、それでよくやってこれたと思います。

○学生へのメッセージ
いろいろと不安が多いと思います。しかし、いつの時代でも、若者は不安にさいなまれていました。 不安を克服するには、努力と、それに伴う信念しかありません。 根性を入れてください!


ページの先頭に戻る
________________________________________

渡辺 正 先生
________________________________________

○現在の所属
生産技術研究所・サステイナブル材料国際研究センター

研究内容
光合成の分子メカニズム解析、電気化学計測法の開発と応用

○略歴
1970年 東京大学工学部工業化学科 卒業
1972年 東京大学大学院工学系研究科工業化学専門課程修士課程 修了
1975年 同 博士課程 単位取得退学(昭51.3.23修了。工学博士)
1986年 東京大学助教授(同上)
1992年 東京大学教授(同上) 現在に至る

○主な著作
『これからの環境論――つくられた危機を超えて』(日本評論社、2005)
『バイオに学び バイオを超える』(編著、日本評論社、2004)
『ダイオキシン――神話の終焉』(共著、日本評論社、2003)
『電気化学』(共著、丸善、2001)

○講義内容
いろいろな「環境問題」を科学(化学)の目で見たときの素顔について私見を披露し、一緒に考えたい。

○お勧めの本
日垣 隆氏の一連の著作(『敢闘言』『日本につける薬』『偽善系』など)
(手前味噌)渡辺 正『これからの環境論』(日本評論社、2005)
(勧めない本)プロ研究者の書いた環境本

○学生のころ何をしていたか
学部3年の秋に大学紛争が始まったおかげ(?)で、本をずいぶん読んだ。

○環境問題に興味をもったきっかけ
海外の情報に接し、日本国が「井の中の蛙」だと悟ったこと。

○趣味・特技
趣味は雑読・翻訳。特技はなし。

○10年後の私
停年(2012年)以後ゆえ、生きていれば読書・翻訳三昧‥‥か。

○先生が自慢できること
7ヶ国語を(少しずつ)かじった分だけ人生がおもしろい。

○学生へのメッセージ
いずれ「コトバで勝負する」時期が来る。それには最低1000冊の本を読むのが必須。 入試までの「国語」「英語」は何の役にも立たない。 ひたすら本(学者の書いた本ではなく、まともな日本語の使い手が書いた本)を読むこと。


ページの先頭に戻る
________________________________________

井上 真 先生
________________________________________

○現在の所属
東京大学・大学院農学生命科学研究科・農学国際専攻・国際森林環境学研究分野

○研究内容
ローカルレベルでの人と森との関係を調べたうえで(A)、 それ以外の様々なアクターの利害関係や動きを視野に入れた森林管理のあり方を考えている(B)。 Aに関連する研究テーマとしては、「ボルネオ島のダヤック人による森林の利用・管理」、および「コモンズ論」があり、 Bに関連するものとしては「熱帯地域の参加型森林管理」および「森林の協治論(協働型ガバナンス論)」がある。

○略歴
1960年、山梨県生まれ。東京大学農学部林学科卒。農学博士。
農林水産省森林総合研究所、インドネシア共和国教育文化省熱帯降雨林研究センター(JICA長期派遣専門家)をへて、 現在、東京大学・大学院農学生命科学研究科・農学国際専攻・教授。

○著作
単著に
『熱帯雨林の生活』(築地書館,1991)
『焼畑と熱帯林』(弘文堂,1995,熱帯生態学会「吉良賞」)
『コモンズの思想を求めて』(岩波書店,2004)
が、共著に
『森林資源の利用と再生』(農山漁村文化協会,1994)
『人と森の環境学』(東大出版会,2004)
が、編著に
『コモンズの社会学』(新曜社,2001)
『アジアにおける森林の消失と保全』(中央法規,2003)
『アジア環境白書2003/04』(東洋経済新報社,2003)
『People and Forest』(Kluwer Academic Publishers,2003)
などがある。

○講義内容
「環境問題へのハイブリッド・アプローチ」?環境問題に関連した研究をやっている学者は多い。 しかし、その多くは自らの学問分野に浸り、 その学問分野の学問的な要請の範囲内で環境問題を一つの事例として扱っているに過ぎないようである。 本気で環境問題に挑戦するためには「ハイブリッド・アプローチ(一人による学際的アプローチ)」が不可欠である。 しかし、それはそうたやすいことではない。 本講義では、ハイブリッド・アプローチの特徴や実現可能性について講師のフィールド経験をもとにして考えてみたい。

○お勧めの本
本講義の参考文献は下記の二冊である。
1. 石弘之編『環境学の技法』東京大学出版会,2002年
2. 井上真『コモンズの思想を求めて:カリマンタンの森で考える』岩波書店,2004年

○学生のころ何をしていたか
アルバイトでパブのウェイターをやるなど夜の繁華街が好きで、明け方まで人間関係について学んでいた。 同時に、自分はどんな人生を送りたいのかについて、アルコールに浸った頭で友人と語り合った。 大学時代の四年間は人生の方向を決める重要な時期であった。そのすべての経験は、 フィールドワークと共同研究に活かされている(と信じたい...)。

○環境問題に興味をもったきっかけ
山梨県で育った私は、入学のため上京した当時、関東平野の広さと緑の少なさにとまどった。 東の山から昇って南アルプスに沈んでいた太陽は、ビルの谷間から昇り、そしてビルの谷間に沈んだ 。特に、繁華街からの帰りに見た日の出に、将来に対する底知れぬ不安を抱いた。 こうして、生活環境の激変の中で森林の重要性に関心を持つようになり、進学振り分けでは迷わず農学部の林学科を選んだ。

○趣味・特技
空手道3段。指導員の一人として老若男女を教えつつ、シニア選手として試合にも出ている。もっと勝ちたい!

○10年後の私
三人娘はすでに独立し、私は妻と二人でゆとりのある生活を送っている。 教育者・研究者としての仕事を十分にやったと実感できた場合には、静かな田舎に引っ込んで (しかしインターネットで世界中と繋がりを持ちつつ)、頭を丸め、空手道場で子供を教えながら、 地域密着型かつ政策提言型の環境NGOを立ち上げる準備をしている・・・・といいなア。

○先生が自慢できること
自分が発展途上人であることを自覚し、自分の変化や成長を楽しめること。

○学生へのメッセージ
失敗を恐れず、柔軟な思考をもって興味のあることを追求してみよう。挑戦する人は美しい!


ページの先頭に戻る
________________________________________

廣野 喜幸 先生
________________________________________

○現在の所属
大学院:東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系
後期課程:東京大学教養学部基礎科学科
前期課程:哲学・科学史部会

○研究内容
専攻分野は科学史・科学論、応用倫理学、進化生態学です。 現在、特に薬害エイズ問題における科学者の社会的責任、臓器売買、動物の権利論の3テーマについて研究中です。 雑用があまりにも多く、研究は進展していませんけれども。

○略歴
1983年 東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)卒業
1990年 東京大学大学院理学系研究科(相関理化学専攻)修了
1998年 東京大学大学院総合文化研究科講師
1999年 同助教授 現在に至る

○著作
廣野喜幸・市野川容孝・林真里編『生命科学の近現代史』 勁草書房 2002
小林傅司編『公共のための科学技術』 玉川大学出版部 2002

○講義内容
環境倫理学は、生命倫理学とならんで、応用倫理学の重要な一角を占めています。 しかし、環境倫理学は生命倫理学ほど体系化が進んではいないようです。 本講義では、環境倫理学概論あるいは入門講義を目指します。 特に、環境はなぜ保全されなければならないかをめぐる議論の状況について話す予定です。

○お勧めの本
・レオポルド『野生のうたが聞こえる』新島義昭訳、講談社学術文庫(1997)
環境問題がその問題性をあらわにした後で環境問題に取り組むことももちろん非常に重要である。 だが、あることがらの問題性が一般的に受け入れられていないときにその問題性を提起することは負けず劣らず 、いやいっそう重要であろう。こうした先駆性が本書にはある。 まだ環境問題の問題性が隅々にまで精査されていない時代の著作であるので、さまざまな限界をもってはいる。 ここでも本書に建設的な批判精神をもって読み解くことをお勧めしたい。
・辻信一『スロー・イズ・ビューティフル』平凡社(2001)
世はますますめまぐるしくなっている。 しかし、環境問題で重要なのは、めまぐるしさに伴うわれわれの高エネルギー消費文化をエコロジカルなものに変えていくことにあるのではないか という感を最近ますます強めている。われわれに必要なのはもっとゆったりと生きることなのではないだろうか。 あくせくと環境問題に取り組むことは、どこかおかしいのではないか。そうした思いをいっそう深めてくれたのが本書である。 本書も、そしてレオポルドの本もゆったりと読んでほしい。
・岸由二『自然へのまなざし』紀伊国屋書店(1996)
「目からうろこが落ちた」という経験で述べた事柄を、強いて環境問題を学ぶうちに求めるとすれば、 岸さんの本書と、岸さんとのつきあいにおける片言隻句であろう。

○学生のころ何をしていたか
父親の会社がつぶれ、数千万の借金を背負い、また私自身も「五月病」(かような古い言葉をみなさんはご存じだろうか)にかかり、 1年次はそのために休学した。復学以降は、遅れを取り戻すため無我夢中で日々を過ごしていたように思う。 のんびりと日がな一日生物をながめ、あきたら温泉につかる日々が目標であったし、その目標は今も変わりはない。

○環境問題に興味をもったきっかけ
ユクスキュルの本を読んだこと。

○趣味・特技
温泉めぐり。漫画論。系図調べ。 エコサイクリング。みんな、自動車から自転車へ移行しよう!

○10年後の私
10年前、私は環境問題に興味をもつ予備校教師だった。 10年後、私は環境問題に興味をもつ庶民でありたい。 (十年前だって? そんな昔のことは覚えていないな。 十年後だって? そんな先のことは分かりはしないさ。)

○先生が自慢できること
まったくありません。

○学生へのメッセージ
自分のやりたいことをやるのがいいでしょう。 それが公共性をもつとなおよいと考えます。 また、カフカの言葉が印象に残っていますので、それをみなさんにもお伝えしておきます。 「世界と君が対立したら、世界を支持せよ。」


ページの先頭に戻る
________________________________________

小宮山 宏 先生
________________________________________

○研究内容
化学システム工学、地球環境工学、機能性材料工学、CVD反応工学

○略歴
1944 東京都に生まれる
1967 東京大学工学部 化学工学科卒業
1969 東京大学大学院工学研究系研究科 化学工学専門課程 修士課程修了
1972    同上 博士課程修了 工学博士となる
2000.4〜2002.3 東京大学大学院工学系研究科長・工学部長
2002.4〜2003.3 化学工学会会長
2003.4〜2005.3 東京大学副学長
2005.4〜    東京大学総長


○著作
「知識の構造化」((株)オープンナレッジ2004年)
「動け!日本」(日経BP社2003年)
「バイオマス・ニッポン」(日刊工業新聞社2003年)
「太陽発電工学」(日経BP社2002年)
「地球持続の技術」(岩波新書1999年)
「地球環境問題に挑戦する」(培風館1996年)
「理系のためのサバイバル英語」(講談社1996年)
「入門熱力学」(培風館1996年)
「反応工学」(培風館1995年)
「地球温暖化問題に答える」(東京大学出版会1995年)
「機能材料プロセス工学」(オーム社1994年)
「地球環境のための地球工学入門」(オーム社1992年)
「地球環境のための化学技術入門」(オーム社1992年)
「CVDハンドブック」(朝倉書店1991年)
「微粒子ハンドブック」(朝倉書店1992年)
「速度論」(朝倉書店1990年)
「地球温暖化問題 ハンドブック」((株)アイ・ビー・シー1990年)

○講義内容
地球温暖化の進行。破局が待つ地球の未来に「技術は何が出来るのか」
ビジョン2050を通して、科学技術が地球を持続させるために何が出来るかを考えて欲しい。

○お勧めの本
「知識の構造化」小宮山宏著 (株)オープンナレッジ
「地球持続の技術」小宮山宏著 岩波新書
「入門熱力学」小宮山宏著 培風館

○学生のころ何をしていたか
今の学生と同じことです。女性とも遊んだし、部活も勉強も精一杯した。

○環境問題に興味をもったきっかけ
研究者になってから環境問題が注目を浴びてきたので、正直に言うと直接のきっかけは研究費が出たからだが、 それから環境問題の重要性を認識していくようになっていった。今は使命感をもってやっている。

○趣味・特技
人と話すこと。初対面の人とも3時間は話す自信がある。

○10年後の私
70歳。責任ある立場である現役を続けるべきか、自由にものが言えるように引退すべきか悩んでいると思う。 人生の大きな岐路に立っているだろう。

○先生が自慢できること
友人が多い。社会人や研究者は先輩や後輩というものはいるが自立した人間として、 対等な立場でものが言える友人というものは少ないのではないのだろうか。 プラス・マイナス10歳までは友人として自然に接している。(先輩とのトラブ ルのもとになったりもしたが。) 先輩・後輩、地位、立場の壁を超えて、自由に意見を交換できることが大切です。

○学生へのメッセージ
本当の意味での友人を作ってください。また、実際に人と人との関わりを持 って、一生懸命、元気に過ごしてください


ページの先頭に戻る
________________________________________

川島 博之 先生
________________________________________

○現在の所属
農学生命科学研究科、農学国際専攻、国際環境経済学講座 助教授

○研究内容
アジアの農業と環境、農業からアジアの発展と環境の問題を考える

○略歴
昭和52年 東京水産大学 水産学部 海洋環境工学科 卒業
昭和55年 東京大学 工学系大学院 化学工学科 修士課程 修了
昭和58年 東京大学 工学系大学院 化学工学科 博士課程 単位取得の上退学
昭和58年 東京大学 助手 (生産技術研究所)
昭和59年 工学博士 (東京大学)
平成10年 東京大学大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻 助教授

○著作
  • Kawashima H. , M. J.Bazin & J.M.Lynch,(1995) The World Protein Supply and Nitrogen Fertilizer in the 21st Century: in New Environmental Technologies for Sustainable Growth (Editor M. Suzuki), pp.267-277. Kodansha Scientific LTD Tokyo.
  • 環境年表98/99, (1997),(分担執筆),茅陽一監修, p.315-348 オーム社.
  • 21世紀の環境予測と対策,<地球・人間・環境シリーズ> (分担執筆),pp.143-158, (2000) ,安井至編著,丸善.
  • 「未来」 (分担執筆)21世紀の食料生産,東大出版会,pp.81-103, (2002).
○講義内容
農業からアジアの発展と環境の問題をどのように考えるか、総合的に講義します。

○お勧めの本
バートランドラッセルの西洋哲学史、マキャベリの君主論、失敗の本質(中央公書)

○学生のころ何をしていたか
結構、本は読んでいました。

○環境問題に興味をもったきっかけ
まあ、青年の正義感でしょう。

○趣味・特技
将棋(ただしTVで見ること)、読書はいまでも好きです。 新聞、雑誌も良く読みます。雑誌は立ち読みが多い。クラッシク音楽は良く聞きます。 ただし、女房、子供は楽譜が読めるのに、私はぜんぜん読めません。

○10年後の私
そんなに変わっていないのでは。

○先生が自慢できること
結構、戦略的にものを考えてます。ただ、金儲けなどには、使ってません。 正確には、成功していない。人並みのことをするのに、人より楽に達成することを、考えています。 それなりに、勤勉だと思っていますが、満員電車に乗らなくても、食べて行けることが、理想であり、人生の目標です。 この部分は、それなりに、達成しています。

○学生へのメッセージ
ある学問分野と心中しない方が良いと思います。日本の学界は、会社と似ています。会社と心中になります。 結構、分野の盛衰も激しいのだから、若い世代は、現在の学問分野を、あまり信用しない方が良いと思います


ページの先頭に戻る
________________________________________

藤井 康正 先生
________________________________________

○現在の所属
4月1日から 「東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻

○研究内容
数理計画法やマルチエージェントシミュレーションなどのシステム解析手法を用いて、 エネルギー・環境・経済システムに関連する諸課題の分析や評価を行っています。 具体的には、地球温暖化問題対策技術の評価、日本のエネルギー安全保障政策の検討、 電力市場の制度設計ならびにリアルオプション評価、オール電化社会の意義とその実現可能性の検討、などが研究テーマとなります。

○略歴
1988年 東京大学 工学部 電気工学科 卒業
1990年 東京大学 大学院工学系研究科 電気工学専攻 修士課程修了
1993年 東京大学 大学院工学系研究科 電気工学専攻 博士課程修了 博士(工学)
1993年 横浜国立大学 工学部 電子情報工学科 助手
1995年 横浜国立大学 工学部 電子情報工学科 講師
1997年 横浜国立大学 工学部 電子情報工学科 助教授
1999年 東京大学 大学院工学系研究科 電気工学専攻 助教授
2005年 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 助教授

○著作
(1)「グローバルエネルギー戦略」、山地憲治、藤井康正、電力新報社
(2)「エネルギー論」、藤井康正、茅陽一、岩波書店、岩波講座「現代工学の基礎」技術連関系-5
(3)「地球環境のための地球工学入門」、小宮山宏ほか(共著)、オーム社

○講義内容
これまで担当した講義としては、過去も含めると以下の通りです。
回路理論、電気磁気学、電力系統工学、エネルギーシステム論、システム数理工学、数学演習
今回の講義の内容は以下の通りです。
(1)地球温暖化を緩和するための3種類の対策技術
(2)エネルギーシステムモデルの分類
(3)エネルギー環境統合評価モデルの概要
(4)モデル解析から得られた主な知見と課題

○お勧めの本
成長の限界 ― ローマ・クラブ人類の危機レポート」、ドネラ H.メドウズ、ダイヤモンド社
幾何級数的成長の持続は困難なことなどを再認識させられました。

○学生のころ何をしていたか
学部生の頃は「核融合発電」に興味を持っていました。そのため電気工学科に進学しました。 駒場のときは、脳をリセットするために何もせずボーっとしていたように思います。 ただ、資源・環境問題、人口問題などに関する本をいろいろ読んでいました。

○環境問題に興味をもったきっかけ
1970年代の石油危機をきっかけに中学生の頃から資源問題に興味を持つようになりました。 そして、電気工学科進学後に上記の「成長の限界」という本に出会い、 その本の中にたまたま茅陽一先生の名前を見つけました。 茅先生は電気工学科の教授をされていましたが、ずっと以前からCO2問題の研究もされていました。 大学院では茅先生の指導を受け、それ以来エネルギー環境問題の研究をしています。

○趣味・特技
ドライブ、鉄道模型の製作、剣道

○10年後の私
数年先もわかりません。

○先生が自慢できること
酒に強いこと。

○学生へのメッセージ
急がば回れ。


ページの先頭に戻る
________________________________________

瀧口 博明 先生(環境省)
________________________________________

○現在の所属
環境省地球環境局地球温暖化対策課

○仕事内容
地球温暖化問題に関する国際交渉と国内の調整

○略歴
昭和39年10月岐阜県岐阜市生まれ。 平成2年3月東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程終了、同年4月環境庁入庁、 その後同庁水質保全局、企画調整局、宮城県環境生活部、通商産業省工業技術院、米国イリノイ大学留学等を経て、平成14年4月より現職。

○著作
環境システム工学(共著)、エントロピーアセスメント入門(共著)、新エネルギー技術入門(共著)

○講義内容
地球温暖化問題に関する国際交渉の現実と課題として、国際交渉の現場や調整のプロセス、 環境政策と国際交渉、国内外のステークホルダーの役割、科学的知見の国際交渉への反映など。

○お勧めの本
理科年表(平成17年版より環境部が新設された)

○学生のころ何をしていたか
教養学部の学生の頃は、基礎教養科目の単位取得に苦労した覚えがある。

○環境問題に興味をもったきっかけ
ちょうど大学生の頃、オゾン層の破壊などの地球環境問題が騒がれ始め、興味を持った。

○趣味・特技
 最近、休日には、英語の勉強も兼ねて、古いアメリカ映画のDVDを見ている。

○10年後の私
 過去10年間は仕事中心の生活だったので、これからの10年は仕事に加え私生活も充実させたい。

○先生が自慢できること
身体が丈夫なこと。

○学生へのメッセージ
これまでの人生でいくつかの挫折を経験したが、今ではそれが自分の強みと思えるようになった。 学生の皆さんも悩みはいろいろとあるでしょうが、投げ出さないでほしいと思う。


ページの先頭に戻る
________________________________________

滝沢 智 先生
________________________________________

○現在の所属
 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻

○研究内容
日本の水環境に関する調査研究
膜ろ過を用いた高度浄水処理
都市の水利用に対する社会経済的な変動の影響
都市の地下水保全と有効利用
機能性材料による水環境改善
水道管路の更新
アジア地域の水環境に関する調査研究
ホーチミン市とドンナイ川流域における水利用と水環境汚染(ベトナム)
ジャカルタにおける洪水被害と住民の健康影響に関する調査(インドネシア)
チェンマイに近郊における地下水のフッ素による汚染とその対策(タイ)
東北タイのポン川流域における統合的な流域管理に関する調査(タイ)

○略歴
1983 東京大学工学部都市工学科卒
1988 同大学院修士課程、博士課程修了(工学博士)
1988 長岡技術科学大学 建設系 助手
1990 建設省土木研究所 下水道部 研究員、主任研究員
1992 東京大学工学部 附属総合試験所 助教授
1997 アジア工科大学 環境工学科 助教授 (JICA専門家として派遣)
1999 東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻 助教授(現職)

○著作
「環境工学系のための数学」数理工学社(2004年12月)

○講義内容
水は人間とのかかわりにおいて、多面的な要素をもっている。 先進国においてはボトル水に見られるような、「商品」「嗜好品」としての性格が益々強まっている一方、 開発途上国においては、「開発と貧困からの脱出」のために最も重要な資源であると考えられている。 貧困の指標として長く使われてきた国民一人当たりのGDPに換わって、 お金でははかれない貧困の状況を表す指標としてWater Poverty Indexが考えられ、多くの研究者や国際機関に広まりつつある 。実際のところ、水資源が不足しているために貧困にあえいでいる国や地域が多くある。 その一方で、水資源開発によって本当に豊かになれるのか、という疑問もある。 開発された水資源を誰が使うのか?水資源を利用して生産した商品をどのように市場で売るのか?などの問題が未解決のまま 、水資源開発が行われると、貧困対策には全く役に立たない事例が数多くある。 また、水資源開発においては、上流と下流、都市と農村といった相互の関係を解析し、理解することも重要である。 本講義では、以上の内容に関して、事例を挙げつつ、水と貧困の問題がどのように関連しているのかを解説する。

○お勧めの本
「凶犯」張平著、荒岡啓子訳、新風社文庫(2004年8月)
"Globalization and Its Discontents" Joseph Stiglitz, Norton
「崩壊の予兆」ローリー・ギャレット著、河出書房新社(2003年8月)

○学生のころ何をしていたか
旅行と読書

○環境問題に興味をもったきっかけ
1970年代は、毎日のように公害問題が報道されており、 このまま工業生産が増大すれば将来取り返しのつかない状況になるのではないかという、 漠然とした不安がありました。 成長の限界、沈黙の春などの書籍も、このような一般的な見方に影響を及ぼしたのではないかと思います。 当時、大半の学生は、環境問題は杞憂に過ぎないと感じていましたが、少数の学生は、工業国の将来に不安を抱いていました。

○趣味・特技
時間があれば、水泳、(下手な)テニス、温泉めぐりと雑読

○10年後の私
今現在の仕事に一区切りを就けて、さらに新しいことに挑戦したいとおもいます。

○先生が自慢できること
幅広い分野の書籍・情報に目を通し、自分の専門以外の人の話に耳を傾けるよう努力している。

○学生へのメッセージ
「博覧強記」を目指してください。 沢山本を読むこと、いろいろなものをじかに見て歩き、本で得た知識を確かめることが大切です。 それと、他人の意見を良く聞けるようになることも、自分の知識や能力を伸ばすために重要です。


ページの先頭に戻る
________________________________________

今村 俊一 先生(TOYOTA)
________________________________________

○現在の所属
トヨタ自動車株式会社 環境部 企画グループ 担当課長

○仕事内容
環境報告書と環境教育を担当。同時に、グローバルな非生産会社(販売会社等)の環境部窓口として活動。

○略歴
東京大学法学部および新聞研究所を卒業後、トヨタ自動車入社。
宣伝部を経て、イリノイ大学ビジネス・スクールに派遣される。 帰国後、新設の海外渉外広報部に配属され、 トヨタの海外における社会貢献政策の策定、技術情報の出版やイベントに携わる。 1992年から94年、2年間のボランティア休暇を取得し、海外青年協力隊に参加。 コスタリカの私立大学で品質管理に関して教鞭を執り、 同校の学長の助言者として活動。 1998年環境部設立時から、創設メンバーとして環境部に携わる。

○趣味・特技
趣味はテニス、アイボと遊ぶこと。ゴルフはたしなむ程度。 愛読書は歴史書。(WWU関連)


ページの先頭に戻る
________________________________________

鳥越 皓之 先生
________________________________________

○現在の所属
早稲田大学人間科学部

○研究内容
環境社会学・環境民俗学。 昨年はグアテマラ共和国の湖と森林での人びとの生活調査、イギリスにナショナルトラストの調査に行っていました。 日本では、まちづくりについての調査をよくしている。最近は、景観論や観光論について考えることが多い。

○略歴
1944年、戦争の激しいときに沖縄県にうまれる。大阪育ち。東京教育大学文学部卒業。 筑波大学大学院人文社会科学研究科教授を経て、現在、早稲田大学人間科学部教授。 客員としては、放送大学客員教授。米国コーネル大学客員研究員、中国北京外国語大学客員教授など。

○著作
『環境社会学の理論と実践』(有斐閣)
『花をたずねて吉野山』(集英社新書)
『環境ボランティア・NPOの社会学』(編、新曜社)

○講義内容
環境社会学は自然環境から歴史的環境までをあつかうが、講義では、自然環境と人間の暮らしとの関係について述べる予定。

○お勧めの本
折口信夫『死者の書』

○学生のころ何をしていたか
映画や芝居をみていた。 

○環境問題に興味をもったきっかけ
素朴な憤りなのかしら。ただその頃は環境問題に関心をもつのはよくないこと(反体制)と思われていました。

○趣味・特技
なにもないが、合気道を5年ほどしていた。

○10年後の私
好々爺になっている。

○先生が自慢できること
思い浮かばない。

○学生へのメッセージ
なんでも実際に見てみるのがいいね。現場を見ると考えさせられるから。


ページの先頭に戻る
________________________________________

松野 泰也 教授
________________________________________

○現在の所属
大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 助教授

○研究内容
ライフサイクルアセスメント(LCA)を適用した、マテリアル、製品、サービスの環境負荷誘発量の解析。 最近では、特に、各種素材(マテリアル)の社会におけるダイナミックなフローを解析し 、環境負荷最小化のための最適なリサイクル形態について検討を行っている。

○略歴
1990年3月 東京大学工学部化学工学科卒業
1996年3月 東京大学大学院工学系研究科化学システム工学博士課程修了、工学博士
その後、通商産業省工業技術院資源環境技術総合研究所、産業技術総合研究所を経て、現職へ。

○著作
足立芳寛、松野泰也ら、「環境システム工学」、東京大学出版会 2004
未踏科学技術協会エコマテリアル研究会、「エコマテリアルガイド」日科技連、2004(一部執筆)

○講義内容
タイトル:「循環型社会を考える ライフサイクルアセスメント(LCA)」
内容は、小生の環境研究の軌跡を紹介し、最後に小生の夢、つまりマテリアル工学の視点に立った 社会の設計について、熱い思いを伝えたいと思います。
アサヒスーパードライを1本飲むと、CO2は何グラム排出される? 電気自動車とガソリン自動車、どっちが本当に環境にいいの ?古くなったエアコン、さっさと買い換えて性能の良いのを購入した方が社会のため?それとも古い物を大事に使った方が良いの?  素朴な疑問を、一緒に考えていきましょう。

○お勧めの本
人生に迷いが生じたときは、「宮本武蔵」(吉川英治文庫)
日本および世界の環境問題に立ち向かうと燃えている人は、「龍馬が行く」(司馬遼太郎)
その前に、足立芳寛、松野泰也ら、「環境システム工学」、東京大学出版会

○学生のころ何をしていたか
自慢できることは何もしていません。駒場時代、アルバイトして貯めたお金で、アメリカ横断したのが楽しかった思い出。

○環境問題に興味をもったきっかけ
小さい頃に、石油危機を体験。記憶はないが、社会情勢からエネルギー問題に関心が高まる。 大学院は燃料電池の研究に没頭。エネルギー問題と環境問題(特に地球温暖化)は密接な関係がある故、 おのずと環境問題へと関心が広がっていった。

○趣味・特技
下手の横好きで、麻雀、ゴルフ、テニス、スキューバダイビングと何でもやった。 最近は、全て急速に退化している。大好きなお酒も、日本酒一升飲むと、記憶が飛ぶようになったので、控えている。

○10年後の私
環境問題に取り組む研究者として、アジアの中で大きな礎を築いていたい。  生活の上では、子供(長男)ともに職場(東大)に通えたら最高ですね。

○先生が自慢できること
元気の良さ。講義にかける情熱と声の大きさは、誰にも負けない自信あり。

○学生へのメッセージ
何事にも「完全燃焼」で。後悔の無い学生時代を過ごしてください。

ページの先頭に戻る